2016年10月31日月曜日

尻カメラとドカ食い


自分のことをエラいなあ~と感じるのがこの季節である。10月生まれなので毎年この時期になると身体のアチコチを検査する。

無頼派を気取りたいくせに、自ら進んで口や尻にカメラを突っ込まれに行くのだから実にエラいと思う。大真面目ちゃんである。

胃や大腸の内視鏡検査というとさも大変そうだが、私が通っているクリニックは強力鎮静剤でコテっと寝かしてくれるから痛くも痒くもない。

それどころか、その鎮静剤が物凄く気持ちよくて毎年毎年検査前はウキウキしちゃうほどである。

注射されて2分もすればフワ~となって必死に抵抗してもフガフガ言いながらストンと落ちる。熟睡だ。

気付いた時には検査用の個室に私一人横たわっている。機材も撤収済みである。鎮静剤のせいでフワフワした気分のままボンヤリする。ホントに検査したのか?と思うほどあっけなく終了する。

毎年、胃カメラを突っ込む際には、まずは喉の周辺もしっかりチェックしろ、尻にカメラを突っ込む際には前立腺周辺も確認してくれなどとワガママを言わせてもらうので何かと安心である。

血液検査もやってもらい、ついでに肺のCT検査の予約代行もお願いする。今年は以前から存在する胆のうポリープの状況をチェックするため腹部のMRIも手配してもらった。

1週間ほど経ってからすべての結果を電話で解説してくれる。実に便利だ。でも、毎年サボらずにキチンと通っている私がとにかくエラいのは確かだ。

フワフワ気分のまま検査終了。手ぶらで帰るのも面白くないから寝付きが悪いときに愛用?している安定剤やら余計なクスリの処方箋ももらう。

この後が私にとってウヒョウヒョの時間である。例年、検査終了は午後早めの時間だ。朝早くから下剤を飲んで3時間ほどかけて腸をクリアにして検査に臨むから当然、朝飯は抜きである。

というわけで、「午後のドカ食い」というご褒美が検査日の恒例行事である。クリニックは銀座一丁目だから近隣のウマい店が私を呼んでいる。

いつもなら鎮静剤のフワフワが残った状態で生ビールをカ~と飲むのが定番なのだが、今年は大腸の小さいポリープを取られたので1日だけアルコール禁止を厳命されてしまった。


今年のご褒美ドカ食いは銀座「煉瓦亭」の「チキンライス大盛り」と「海老のコキール」である。以前ならこれに加えてクリームコロッケなんかも食べられたのだが、さすがに全身劣化中なので2品だけにした。

「大盛り」の嬉しさは最初の一口二口はもちろん、中盤戦まで残りの量のペース配分を一切考えることなくガッつけることである。それに尽きる。

大盛りの食べ物といえば、味は二の次で見た目の凄さだけがウリの店が多い。その手の店は学生向けだったりするのでダンディー系?中年紳士である私には居心地が悪い。

その点、大人の客が集う老舗洋食屋の正しい王道系チキンライスを大盛りバージョンにしてもらうのは何となく収まりが良い。気分がアガる。

検査後のドカ食いといえば、過去にはパレスホテルやグランドパレスといった「ピラフの殿堂」で大盛りピラフをガッついたこともある。

ホテルのピラフはそれなりの値段を取ることもあって普通サイズでも結構なボリュームがある。それをあえて大盛りにすることで「自ら積極的に健康管理しちゃってるもんね」へのご褒美にするわけだ。

普段は絶対に朝飯を抜かない。おまけに朝からヘビーに食べる習慣がある私にとって午後まで何も口にしないことは拷問に等しい。

そんな状況で頬張るチキンライスのウマさったらバンザイ三唱、マンセー!である。細かな味など二の次?だ。死ぬほど空腹で頬張るチキンライス&ホワイトソースこってりのコキールである。

この瞬間だけは毎週でも内視鏡検査を受けてもいいと思えるぐらい幸せである。

後日出かけたMRI検査は職場に近い池袋の検査専門クリニックだ。その日も朝飯抜き、昼前に終わる予定だったので何を食べようか悩みながら検査室へ。

CT検査は慣れているのだが、MRIをやる際のアノ狭い空間に閉じ込められる閉塞感が大嫌いである。頭の中で検査後には何をドカ食いしようか考えながら気を紛らわす。

以前、脳ドックの際に頭を全部器具で覆われた際に閉所恐怖症的にパニックになった悪夢が脳裏をよぎる。

http://fugoh-kisya.blogspot.jp/2010/10/blog-post_11.html

この日の検査台は脳ドックほど閉塞感は無いのだが、それでも結構ヤバい感じである。腹部を固定されたついでに腕も軽く拘束されて狭いスペースで身動きできずに20分もの間、イヤな機械音に包まれる。

放っておくとパニックになりそうだから必死に食べ物のことを考える。しかし、しかし、ここは池袋である。検査が終わった後にいそいそ出かけたい店がない。ワクワクする店がまるで思い浮かばない。

大勝軒でチャーシュー麺を食べようか、デカ盛りナポリタン専門店に行こうか、ゴーゴーカレーでトッピングしまくろうか、浮かんでくるアイディアは、どれも「検査終了後のハレの気分」を飾るにはイマイチである。

池袋という街に恨めしい気分になっていたら検査が終わっていた。イライラしたおかげで閉所パニックにならずに済んだようだ。

やるじゃないか池袋!ありがとう池袋!である。

で、結局職場に戻って至近距離にある街場の中華定食屋に行く。「肉もやし焼きそば大盛り」を食べようと企んでいたのだが、たまたま我が社の幹部社員がランチ中だったので、見栄を張って、というか痩せ我慢して「並盛り」をオーダーしてしまった。

そんなところで「上品な副社長」のフリをしたところで何も意味はない。マヌケだ。大盛りを食べなかった欲求不満の渦の中で1日を過ごすことになった。バカである。

今日はちゃんと検査に出かけてエラいという自慢話を書きたかったのに、結局、ドカ食いの話が主題になってしまった。

食欲の秋である。

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