これまで脈略無く本を読んできたが、最近になって時代小説を読むようになった。今まではちっとも興味が無かったのだが、突然面白く感じるようになった。
偉人の伝記的な歴史小説や教訓めいた大河モノには興味が無い。名も無き普通の人々を描いたような人情モノに惹かれる。
この歳になって、歴史モノから組織論だのリーダー論を学ぶのは面倒だ。大きなお世話である。ただジンワリとした気分になれれば充分だ。
ビギナーだから短編ばかり読んでいる。寝る前のひととき、タイムスリップしたような感覚になって楽しい。
江戸時代の武士や町人のことなどピンとこない。情景を思い描くのも限界がある。でもそこが楽しいのだろう。
考えてみれば、子どもの頃にSF小説の世界に夢中になったのと似ている。SFは未来のロボット社会や宇宙を舞台にしていたから、あくまで情景は想像するしかない。
江戸の長屋や侍の暮らしを勝手に頭に浮かべながら、市井の人々の気持ちに共感するのは、一種のSF的な面白さがある。
いわば、異世界であり非日常の極みである。長い時間を旅するという点でも脳ミソを普段の暮らしからリセットする効果がある。
なんだか大げさな書きぶりになってしまった。
勝手な思い込みだが、時代小説を書く作家の力量にただただ敬服する。プロの技の凄さを痛感する。
ネット小説だのライトノベルみたいな世界とは明確に一線を画している。読んで損したみたいな薄っぺらさを感じることが少ないように思う。
上の画像の本に載っていた山本一力さんの「永代橋帰帆」などは読み終わった後、かなり長々と余韻に浸った。唸らせてもらった。
大きく分類すれば赤穂浪士モノなのだが、赤穂浪士は99%登場しない。商人の目からみた忠臣蔵の裏の裏の実相みたいな話だった。
時代モノのマニアに言わせれば私の寸評など屁みたいなものだろうが、とことんアナログな点も時代小説の魅力だ。
当然ながら電話やクルマはもちろん、電気すら無い時代の話だ。とことんアナログである。だからこそ人間の根源的な精神性みたいなものが強く浮き彫りになる。
登場人物が現代人みたいにフニャフニャしていないのがいい。悪いヤツはとことん悪いし、善人はすこぶるお人好しだ。上の画像の池波正太郎の短編集が私が時代小説に突然興味を持ったきっかけになった一冊だ。
この夏に出かけたクロアチアのビーチでに持ち込んだ一冊だ。ブロンドのオネエサンのビキニ姿に目もくれずにむさぼるように読んだ。ワクワクした。
この夏に出かけたクロアチアのビーチでに持ち込んだ一冊だ。ブロンドのオネエサンのビキニ姿に目もくれずにむさぼるように読んだ。ワクワクした。
時代小説で描かれるのは、だいたい恩とか仇とか愛とかに対して真っ直ぐに向き合っている潔さである。クネクネ生きている私にとっては妙に魅力的に映る。
まあ私がグダグダ力説したところで始まらない。「時代小説な何となくピンと来ない」と思っているかたは気軽な短編から試してみるのがいいと思う。
ついでに、オススメの短編集を教えていただけたら嬉しい。切ったはったみたいな話ではなく、ジンワリする人情系の路線で一話完結で楽しめるような作品だと有難い。よろしくお願いします。
2 件のコメント:
お疲れ様です。いつも涎を垂らしながら読んでいる野暮天です。
時代小説は良いですね。なかでも人情物といえば、藤沢周平は外せないでしょう。
暗い結末の多い藤沢周平ですが、ホッとする?終わり方の話を集めた短編集「龍を見た男」はおススメです。私が初めて買った藤沢周平です。
ぜひご一読ください。
コメントありがとうございます!
藤沢周平作品は映画などでは見ましたが未読です。オススメの一冊はさっそくAmazonで注文します!
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