2008年2月22日金曜日

アメックスの攻撃

クレジットカードを初めて持ったのは18歳の時。こう書くと「なんだかなー」って感じだが、祖父から大学入学時に渡された。いわゆる家族カードだ。とはいえ、自由気ままに使えるわけもなく、実際に毎月1万円だったか2万円ぐらいの使用上限を決められていたため、まさしく宝の持ち腐れ。

「男なんだからいざという時のために持っておけ」。浅草あたりでブイブイ言っていたらしい“モボ”崩れの祖父の粋な計らいだった。いい経験をさせてもらったと思う。

いま、クレジットカードはお付き合いで持たされているのも含めて結構財布に入っている。個人のカード、法人カードなどいろいろ。

アメックスを利用した際のポイントが航空会社のマイレージサ-ビスに移行できることもあって、一時期、アメックスを沢山利用した。航空会社の提携クレジットカードでももちろんマイルは貯まるが、貯めたマイルの有効期間の問題とかもあり、期限切れのないアメックスのポイントを貯めるという合わせ技を使ったわけ。

もう10年以上前になるだろうか、ゴールドカードをドシドシ使っていたら、アメックスからプラチナカードの案内がきた。尋常ではない年会費を取られるが、数々の特典のうち、専用の旅行手配デスクが24時間使えるという点が気に入ってホルダーになった。

航空券やホテルの手配が電話一本でできるし、おまけにプラチナレートという特殊な特典が用意されているケースも多く、使い勝手はよい。

プラチナカードといえば、はしりの頃は知る人ぞ知るステータスのようなものがあったようだが、そんな知識のないお兄さんやおばあさんがレジを打っているような店ばかり行っていたせいか、プラチナカードを出して感心されたことはない。

その後、プラチナホルダーがタケノコのように増えたらしく、アメックスが繰り出してきた次の手がブラックカード攻撃。この商魂には結構驚かされた。

というのも、プラチナカードの案内の際は、四の五の書いた案内文書が送られてきたが、ブラックカードのときは、頼んでもいないのに現物の黒いクレジットカードそのものが送られてきたから。

表には自分の固有のカード番号、有効期限などが刻印済み。カード裏面にサインを書き込めば、その時点から使えるという手回しの良さ。現物を見ちゃうと精悍な黒のカードの格好良さもあって、使い始めちゃおうかなと思う。でもあまりに尋常ではない金額の年会費を知って結構悩んだ。

一生懸命、ブラックホルダーの特典を見ても、プラチナから切り替えるほどの魅力は感じない。プラチナとの違いは、高級ブランドショップで、通常営業終了後に店を貸切にしてプライベートショッピングが出来ますとか、そういった類のもの。

「プリティウーマン」のリチャード・ギアでもあるまいし、当時はジュリア・ロバーツとも知り合っていなかったし(今でもだが)、冷静に考えて、ブラックカードは封印決定。いまもプラチナホルダーだ。

このあたりを深く考えずにステップアップしないようだから本当の富豪にはなれないのだろう。

プラチナカード所持者に毎月送られてくる雑誌を紹介したい。「DEPARTUARES」というタイトルの豪華絢爛雑誌だ。何となく捨てられずにバックナンバーが随分たまっている。

そもそもファッション系の雑誌のセオリーは、訴求対象となる読者層にとって、ちょっと手が届かないレベルの素材などを紹介することだ。ワンランク上に目を向けさせて消費・購買意欲をあおる作戦だ。

この雑誌、プラチナホルダーというそれなりに可処分所得がある人向けに出しているわけだから、上記した雑誌のセオリーも合わさって、やたらと非日常感が漂っている。

旅、クルマ、モノ等々、“誰が買うんですか商品”のオンパレード。普通に紹介されている腕時計が800万円とか、3千万円のクルマの紹介も極めてシンプルに実用性まで検証している。外国の素敵なホテルの紹介では、室料などという下世話な情報?は省かれちゃったりする。

でも楽しい。雑誌的夢の世界を満喫するには相当楽しい内容だろう。まあ書店売りしてもそうそう買っていく人はいないような感じだが。

紙質、デザインとか全体のクリエイティブセンスが極めて上等。さすがに掲載されている広告も週刊ポストとかには載ってないような高級品のオンパレード。毎号パラパラ見終わったあとの感想は、「もっと頑張らねば」というひと言。

確かに「あいだみつを」的な現状肯定視点も大事だが、やはり現役でフィールドに立っているのなら、ある程度の上昇志向は必要だ。非日常の世界をのぞき見ることで健全な上昇志向が維持されれば、この手の情報に接することは意味がある。

安さを追い求めることも時に必要。ただ、そればかりでは「ちゃんとしたもの」を見失う。ちゃんとした店でちゃんとしたものを買い、ちゃんとしたものを食べ、ちゃんとした暮らしをするには、やっぱり夢を見ることが大切だろう。
願わなければ何もかなわないのだから。

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