2008年2月15日金曜日

テキトーな決算で済む


2月、3月は何かと税金の話題が多い。確定申告にしても3月決算にしても、納税者側はその精査に必死になる。申告書、決算書は、事業をしている人や会社から見れば、一種の通信簿であり、その内容がいい加減ではみっともない。神経をすり減らして当然。

当たり前のことを冒頭から書きつづった理由は、国家予算には、この当たり前が通用していない現実があるから。

「忙しいから決算は来年にでもやればいい、内容も大雑把でいいよ」。経営者なら、それで済むならそう言ってみたい。でもこんな願望、冗談にもならない。ところが国はこれが許されている。意外に知られていない不思議な話だ。

国家財政の規定では、予算は国会での審議および議決が必要とされているのに対し、決算は審議のみ。単純に国会に「報告」が行われるだけ。予算の執行責任が決算でとられないという構造的な「?」は、民間レベルでは考えられない発想だ。

以前は、国会での決算審議が、2年分とか3年分とかまとめて審議されていたしょーもない実態もある。仮に決算が否決されようとも屁の突っ張りにもならない。事実、かつて反消費税運動の高まりで社会党のマドンナ議員が多数誕生した80年代後半に、決算が否決されたことがあったが、時の内閣におとがめはなし。何も変わらなかった。

税金のムダ遣いはいつの世もマスコミを賑わす。ムダ遣いしても罰せられないのだから無くなるわけはないが、それ以前に、国会における予算と決算の制度上の問題がこんなズサンである以上、ムダ遣いは永遠に続く。

必死に努力して税金を負担している企業経営者からみれば、腰が抜けそうになる話だ。

ちなみに首相の諮問機関である第一次臨調でも、この問題を指摘したことがある。「決算の立場から予算そのものの批判を含めた強力な監査機関が必要」、「年度途中でも予算執行の変更・停止権限を持つ機関が必要」。至極真っ当な提言だ。

実はこの提言、ほぼ半世紀前に出されたもの。50年も前から問題点が見えているのにまるでやる気なし。お粗末。

個々の真面目な納税者だけでなく、世の中には民間レベルで納税協力団体を組織して活動している真面目な経営者は多い。心から気の毒に思えてくる。

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