無くて七癖という言葉がある。無いと思っていても7つぐらいはクセがあるのなら、私などは70種類ぐらいのクセがあるのだろう。
クセを例にとるまでもなく、分かっているようで分かっていないのが自分の性格や性質だ。指摘してくれる他人もなかなかいない。
もちろん、40年以上も自分をやり続けているのだから多少の傾向や路線は分かっているつもりだ。それでも意外な場面で意外な自分の様子に気付くこともある。多分60%ぐらいしか自分のことを把握していないのかも知れない。
人様に対して、その人のビミョーな点を指摘することは難しい。難しいというか、そんな指摘はハナからしないようにしている。たいていの人がそうだろう。
逆にいえば、自分に対しても誰かがビミョーな問題点を指摘してくれることはない。だれもが独善的で自己完結のなかで生きているようなもの。
仕事や組織も同じだ。同じ人間、同じメンバーで動いていると問題点は埋没する。前例、慣例が幅を効かし、小さな変化すら拒絶する体質になってしまう。
人事異動で空気を入れ換えようとしても組織全体に染みわたっている澱みはなかなか消えない。大手企業がさかんに社外取締役みたいな制度を導入したがるのもそうした弊害を憂いてのこと。
中小企業の場合、一般的にワンマン体質になりやすい。ワンマン体質こそが中小企業の強さという見方も出来るが、自己完結、独善的という要素は強まる。
経営者自身が自らの澱みに気付かないという点では、大きな組織が持つ弊害と同じ。上手く歯車が回っている時は強さになることが、低迷期には浮上の妨げになる。
客観的に問題点を指摘してくれる第三者の存在がつくづく大事になるわけだ。
中小企業の場合、なかなかそれに見合う第三者を見つけるのは大変だが、顧問税理士をそういう位置付けにすることは難しくない。
社外役員などと大げさに考えるのではなく、あくまで客観的な指摘を積極的に求めることで随分と有益な情報が手に入るはず。
経営者の中には顧問税理士を単なる計算代行屋といった認識で見ている人も多い。「余計なことを言わずに税金が安くなることだけ考えていればいいんだ」みたいな感覚で捉えている人もいる。
経営者は経営のプロとしての自負があり、税理士を「先生」と呼称しながらも、四の五の経営のことをうるさく言われたくないという意識が少なからずある。
対する税理士のほうも、うさん臭く思われかねない現実に敏感になっているところもあって、求められない以上、積極的に貴重な分析情報を提供しない。
以前、わが社が発行する新聞で、税理士から見たダメな経営者に関するアンケート調査を実施したが、なかなか興味深い結果が出た。
細かい話は割愛するが、ダメ経営者に共通しているのは、自分の足元が見えていない点。簡単に言えば、現状認識がまるでできていないということ。数値というシビアなモノサシで企業を分析する税理士にとっては、経営者のひとりよがりが気になるようだ。
具体的には、「過去の人のつながりを否定する」とか「提案、発言内容が若手からだとそれだけで拒否する」、そのほか、「節税しか頭にない」、「すぐ日本経済を語りはじめる」といった指摘もあった。
多くの企業を見ている税理士には想像以上に蓄積情報がある。自負心の強い経営者は想像以上に独善的。こういう悪循環になっているわけだ。
もっとも、経営者の多くが、指摘されそうな問題点をあらかじめ把握していることもある。ことさら第三者にシタリ顔で指摘されたくないという意味で、外部の意見に耳を傾けないわけだ。
「そんなこと百も承知なんだけど・・」っていう感じだ。いろんなしがらみや事情によってその問題点は改善されない。
とはいえ、第三者に指摘されるような問題点を抱えていれば、いずれその病巣が広がって企業を窮地におとしめる。やはり、分かっていようとも第三者に指摘され続けることは麻痺しないためにも大事だろう。
いずれにせよ、経営者に対して客観的数値というこれ以上ない材料とともに意見が出来るポジションにいるのが税理士。経営者としてもっと上手に使いこなさないともったいないと思う。
※※1週間ほどブログ更新をお休みします。再開は8月3日か4日を予定しています。暑さ厳しき折、皆様ご自愛下さい!!
2009年7月28日火曜日
独善的、自己完結
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