2009年8月5日水曜日

おぐ羅

去年も同じようなことを書いた気がするが「夏こそおでん」だと思う。冷房が効いた場所にいることが多いと意外に身体の芯が冷えている。

そんなときにおでん屋さんの暖簾をくぐると何となく温まる気がする。たとえ最初の1杯がキンキンの生ビールでも、おでん鍋から立ちのぼる湯気を見るとホッコリする。

銀座の「おぐ羅」に立て続けに2回行った。夏場は比較的入りやすいが、寒い季節はまず座れない。おでん屋さんというカテゴリーで考えれば異常に高い店だが、それでも大人気だ。

そんなおぐ羅にも不況風が吹いている。夏場だからとはいえ少し寂しい。ふらっと入りたい私なんかには嬉しいことだが、この店なんかが暇になるようだと真剣に日本経済が怪しい。ちょっと心配になる。

おぐ羅での時間は、まず大将がオススメをアレコレと説明する。これに乗っからないと済まないような独特な空気がこの店の特徴だ。おでんというジャンルで客単価を上げるための工夫だ。でも美味しいから仕方ない。素直に乗っかる。

今の時期は、サンマも釣りの逸品。塩焼きにしてガッツリ食べる。幸せ。刺身類も種類限定で置いてあるわけだからモノは良い。まあ、あの価格なら美味しくて当然ではある。ついつい酒が進むような酒肴もあって、なんとも快適な時間が過ごせる。

サンマの塩焼きに喜んだ翌週に訪ねた時は、アジフライを注文してみた。さすがに最高だ。高級品に仕上がっている。いくらでも食べられそうな味わい。

イマドキの牛丼が5、6杯は買える値段なので美味しくて当然だ。とはいえ、この手の高級アジフライは貴重だ。ありそうで中々見つからない。

小骨を歯ぐきに突き刺しながら皿を汚く散らかして必死で食べるようなアジフライならどこでも安価で食べられる。でもたまには割烹料理のようなアジフライを堪能したい時もある。そんな気分の時にはピッタリだ。

さてさて、おでんだ。こちらは関西風。透き通った琥珀色の出汁だ。東京人のおでんは真っ黒けが定番だったが、いつのまにか関西風に席巻されたみたいだ。

実は私、子どもの頃おでんが大嫌いだった。東京人なので大嫌いなのは当然真っ黒けのおでん。実家でもたまに真っ黒おでんが登場したのだが、ホントにひとくちも食べなかった。

真っ黒おでんが嫌いだった反動もあってか、大人になって知った関西風おでんに妙に惹かれた。関西の軍門に下るようでちょっと気に入らないが美味しいから仕方ない。

さて、おぐ羅の話だ。ここの名物が出汁かけ茶飯。茶飯におでん出汁をたっぷりかけて少しのネギをトッピングして食べる。単純明快に旨い。

冬場ならヘタをすると夕方6時過ぎには売り切れてしまう人気の一品だ。ところが、夏場の閑散期、夜の10時過ぎにこの名物にありつけた。

嬉しいけどチョット複雑。不況の深刻化を象徴しているような気がした。

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