2009年8月14日金曜日

メモリーキーパーの娘


久しぶりに映画で号泣してしまった。とはいっても、「ET」を見ても「ゴースト」を見ても号泣し、寅さんを見てもたまにチョイ泣きする私だ。あまり参考になるかどうかは分からない。

映画の名は「メモリーキーパーの娘」。劇場公開作品ではなく、テレビ映画のようだが、数年前にアメリカでベストセラーになった小説の映像化作品だ。

アメリカ人の琴線と自分のそれとは根本的に違うと思っていたが、どうしてもその本が読みたくて、数ヶ月前に翻訳本にチャレンジした。

元来、翻訳本が苦手なので半分ほど読んだところでギブアップしてしまった。ちっとも没頭できなかった。DVDが8月に発売されるという話を聞いたので、小説は放っぽらかしにしていた。

翻訳本は無駄な表現というか意味不明な直訳的装飾言葉が山盛りで、作家の微妙な意図が伝わらないように思う。

待ちに待ったDVDは、それなりにストーリーが割愛されていたが、配役のイメージも原作に近い感じで素直に作品に集中できた。

ストーリーは、単純に表現するとざっとこんな感じ。



~~1964年、大雪の夜。医師デビッドは、初めてのわが子を自らの手で取り上げた。生まれたのは男女の双子。だが娘は障害を持っており、とっさに彼は、立ち会っていた看護師に娘を施設に連れて行くよう依頼する。

妻には「娘は死産だった」と偽った。幼い頃、病弱な妹を亡くした彼は、母の悲しむ姿が忘れられなかった。最愛の妻を苦しませたくない。その一心での決断。間違いのない決断のはずだったが、その嘘がやがてすべての歯車を狂わせていく。

赤ん坊を託された看護師は行方をくらまし、障害をもつ赤ん坊を自分の子として育てはじめる。死んだことにされた娘をとりまく人々の25年とは・・・~~。



ざっとこんな感じ。思い出すだけでもウルウルしてしまう。デビッドの心情を思うと切ない・・。

翻訳本を読んでいる時にはピンとこなかったが、映像作品を見て、ようやくアメリカで500万部を超えるベストセラーになったことが理解できた。

キリスト教的バックボーンを持つ彼らには堪らないストーリーだろうし、筋立てが実にドラマティック。はまる人ははまると思う。

私がウルウルしてしまったポイントは、登場人物の誰ひとりとして責められない切なさに尽きる。大きく狂っていく歯車だって、もともとはその時々で真剣に考え、判断を下した結果だ。歯車を狂わせようなどと考えていた人はいない。

医師である主人公が持つ専門知識や社会的な時代背景も考慮すると、主人公の選択は安直にエゴだとは言い切れないし、その業を負ってしまった彼のその後の葛藤を思うと実に切ない。

映画を見終わった後、変な話、男の平均寿命が女より遙かに短いという現実に妙に納得してしまった。そんな感想を抱くようなストーリーだ。

中年男にこそ見て欲しい作品だ。

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