2009年8月28日金曜日

力のおでん

若い頃はオヤジぶりたかった。渋い雰囲気の赤ちょうちんなんかに妙に惹かれた。気取ったカフェバーのインチキ臭さより、オヤジが集う店独特の空気感が新鮮だったのだろう。

オヤジの店というジャンルで外せないのがおでん屋だ。私は元々おでんが嫌いだったのだが、背伸びして渋い店に入るためには好き嫌いなど言っていられない。ある意味、頑張っておでんを食べていた。

そうこうするうちに美味しいおでんにも遭遇するようになり、最近ではすっかり関西風おでんの配下におさまってしまった。

ウマいおでんに遭遇することが多かったのが銀座なので、いまだにおでんを食べるのは銀座ばかり。それこそどんなジャンルの店だって揃っているのに、私の場合、銀座では寿司とおでんぐらいしか食べていない気がする。

先日、久しぶりに7丁目の「力」に出かけた。古い民家風の風情のある建物。ある意味、東京っぽい店だと思う。銀座っぽい店ともいえる。

1階はカウンター中心で、小料理屋、割烹系の佇まい。仰々しくもない代わりに安っぽい感じもない。実にいい塩梅。居心地の良い空間だ。

最初の生ビールが来た段階で名物の牛すじ土手焼をもらう。味噌ダレたっぷりのビールの恋人だ。

おでん以外の一品メニューが豊富なのでアレコレ楽しめる。酢じめしたアジに大根おろし、モミジおろしをタップリ載せてポン酢で味わう特製アジたたきが私のお気に入り。素直にうまい。

この日は、シマアジの刺身、じゅんさい、かき揚げ、長芋そうめんなどを注文。どれも美味しい。おでんにたどり着けずに満足しちゃうわけにはいかないので、おでんに切り替える。

一品ずつ、小鉢で出てくる。上等なお吸い物パレードだ。メカブのおでんなんか実に上品で健康的。トマトのおでんもイヤミのない味に仕上がっていて違和感はまったくない。

定番のおでんダネのほかに、この日、美味しかったのがとうもろこしのおでん。とうもろこしの強い甘みがダシ汁と調和してふくよかな味わい。目からウロコだ。

おでんダネがかなり豊富なのだが、いつも一品料理とアルコールせいで、おでんをたくさん食べられない。寒い季節が来る前に何度か通うことにしよう。

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