冬まっさかりである。寒くてしかたがない。
冬。寒い。とくれば鍋である。
自分が鍋に入って茹だるわけではないのに、何だか温まる気持ちになるから面白い。
若い頃は今よりも極端な野菜嫌いだったから鍋が苦手だった。鍋には野菜が付きものだし、用意される野菜の量を見ただけでゲンナリした。
今では白菜やネギなんかを好んで食べちゃったりして、いっぱしのオトナである。
とはいえ、最後の雑炊を作る時には野菜のカケラはすべて除去する。白米登場によってタンスイカブラーの血が騒ぎ出すわけだ。
食欲中枢とか脳神経の関心がコメモードに切り替わると、途端に野菜の残りかすが憎悪の対象になる。殺意すら覚える。
鍋を囲んだメンバーの誰かが雑炊を作り始める時、ガサツな人がやると、野菜除去作業を怠る。そういう時の雑炊は全然ダメである。
ダシを吸って膨らんだ愛しいコメをズルズルかっ込みたいのに、クニャッとしたマロニーちゃんのカケラとか、白菜の芯の切れ端なんかが混ざっているとゲンナリする。とことん暴れたくなる。気色悪いったらありゃしない。
仲居さんが作ってくれる時も、ベジタブルカケラの除去作業を完璧にこなしているかが気になって仕方がない。私の目は獲物を狙う鷹のように仲居さんの作業を見つめる。
「ちょっと待った~!」とコメ投入を制止して鍋さらいをすることもしばしばである。
心底、この問題は国全体で取り組んでもらうべき喫緊の課題だと思う。
さて、鍋の話だった。
最近食べたのはクエとフグだ。魚というだけでヘルシーな気分になる。身体に良いことをした感覚になる。
実際は、フグの場合は焼き白子を食べ、クエの場合は、キモ和えを食べたりしているので、尿酸値方面は誉められたものではない。
赤坂や銀座、丸の内、新宿などに店舗のある土佐料理「祢保希(ねぼけ)。冬はクエをウリにしているから手軽にクエ鍋を楽しめる。
クエと言えば一般的には九州である。お相撲さんが九州場所でタニマチにごっつあんになるイメージだ。
高知でクエっていうのもピンとこないが、そんなことはどうでもいい。カツオのたたきをニンニクで食べて、どろめをツマミに酔鯨の吟醸酒をかっくらい、最後にクエ鍋を堪能する。
ワンダフォ~!である。
クエのひれ酒も用意されているから、正しい中高年の冬の悦楽きわまれり!って感じである。
フグもクエも各部位を余すところなく食べるイメージがある。刺身にしたり、焼いたり、揚げたり、鍋にしたり・・・。
メインイベントというか、ハイライトはどれかと考えたが、ひょっとすると「ひれ酒」が一番かもしれない。
フグ料理やクエ料理を食べない限り、基本的にそれぞれのひれ酒は出てこない。そこがまた良い。限定品みたいな感じというか、閉鎖的な?存在が愛しい。
香ばしく旨みが染み出たひれ酒の美味しさは、ロマネコンティが挑もうが、世界一のバーテンダーが作るマティーニがかかってこようが、モノともしない究極の味わいだと思う。
いかがだろうか。肉食欧米人が飲んだら「生臭くてかなわんぜ、ベイビー」とか思うのだろうか。
何だかんだ言って、鍋の話を高尚に考察しようと思って書き始めたのに、結局は酒の話で終わってしまった。
アル中なんだろうか。
2 件のコメント:
ひれ酒、良いですね。特に冬の寒い時期は最高です。ポッと広がる青い炎にも癒やされます。
コメントありがとうございます!
火をつけた時のイベント?みたいな感じが良いですよね。
思わずハシャいでしまいます。。。
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