オフシーズンになったから「大谷翔平ロス」に陥っている。今年は彼の活躍のおかげでやたらと楽しい思いができた。コロナ禍の中の英雄と呼んでも大袈裟ではない。
まもなくMLBの最優秀選手が発表されるが間違いなく彼で決まりだ。万一、MVPに選ばれないとしたら人種問題みたいなバカげた理由しか考えられない。ほぼ100%決まりだろう。
先日放送されたNHKスペシャルで取材に応じた大谷翔平は、来年は今年の成績が最低ラインになると当然のような様子で語っていた。今年の歴史的活躍をいわば当然の結果と受け止める向上心の凄さに改めて感心した。偉大だ。
さて、野球界の話題といえば新庄劇場だろう。彼を監督に招へいした日本ハムファイターズのセンスは大アッパレだと思う。赤いスーツにトンデモナイ襟高のシャツを着て監督就任会見に臨んだ彼はまさに大スターだと思う。
北海道に移転してからのあの球団の経営努力は画期的だ。いまや市民球団として成功を収め、かつて後楽園球場を”間借り“していた頃のシャバダバな雰囲気はどこにもない。
日本のプロ野球には入らないと宣言していた高校生の大谷翔平をドラフト会議で一本釣りをして二刀流でメジャーに送り出す素地を築いたのも日ハム。まるで活躍できなかった斎藤佑樹に引退試合を用意してあげるイキな計らいをしたのも日ハムだ。
昨年、48才でトライアウトに参加して現役復帰を目指した新庄を古巣の日ハムなら客寄せパンダとして契約するかと思ったが、こんな形で新庄劇場をプロデュースするとはなかなかニクいことをしてくれる。
宇宙人だのパフォーマンスだけだの新庄新監督は変人イメージが付きまとう。旧態依然とした体質のプロ野球界でそんな人物を監督に抜擢するわけだから賛否両論もある。
とはいえ、選手時代の新庄は短い現役生活ながら安打数は1500を超え、ゴールデングラブ賞は10回も受賞している。大選手と言える。
日本のプロ野球はナゼか昔から現役時代の実績ばかりにとらわれて監督を決める悪習が根強い。メジャーリーグに比べると実に前時代的だと思うが、その点では新庄だって実績なら充分だ。
ちなみに前任の栗山監督は現役選手時代に目立った活躍はなく、引退後の評論家活動で名を上げた印象がある。監督就任前は大学教授までやっていたわけだから就任時は随分と異端視もされた。
それでも10年間も監督を務めたわけだからその点でも日ハムの固定観念にとらわれない独自路線は面白い。日本球界の監督選びも日ハム球団を見習って新鮮さを重視するほうが楽しいと思う。
思えばレジェンド長島監督だって、第一次監督時代の後は10年以上も野球界から距離を置いていた。「スポーツ好きな面白いオジサン」としてカールルイスとじゃれ合ったりアフリカで野生動物と戯れていた。
それでも監督復帰後はジャイアンツを何度も優勝させた。野球界から離れてぷらぷらしていた新庄監督を異質だと決めつける必要は無いわけだ。
敬遠のボールを打ちにいってサヨナラヒットにしたり、オールスターで前代未聞のホームスチールを決めたり、数億円のオファーを蹴って年俸2千万円でニューヨークメッツに入団して4番を打ったり、新庄劇場は野球ファンを驚かせ続けてきた。
監督という立場でどんな野球を見せてくれるか楽しみで仕方がない。来年は大谷に加えて日ハムの戦いぶりという楽しみが加わったことが嬉しい。
ちなみに私は東京生まれだから自然と巨人ファンでいる時間が長かった。ところがヘンテコな補強ばかり繰り返し、ヨレヨレの成績でも監督が“教祖”かのように振る舞っている現状をみると、ちっとも巨人野球を見たいとは思わなくなった。
巨人と日ハムを比べると、まるで斜陽の重厚長大型企業と勢いのあるベンチャー企業のように思える。野球を愛する一ファンとしてどちらを見たいかといえば当然後者である。
来年は新庄ファイターズの野球を心から応援したい。
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