肉だけ食べていれば太らないという都市伝説のような話をよく聞く。素直に信用する気にはならないが、きっと何かしら根拠みたいなものはあるのだろう。
信じる者は救われる精神で私も肉だけをムホムホ食べる機会が増えた。牛より豚のほうが好きなので我が家の冷蔵庫や冷凍庫には豚肉ばかり保管されている。
ふるさと納税で取り寄せている沖縄のパイナップルポークは旨味たっぷりでヘタな牛肉を食べるより幸せな気分になる。ネットスーパーで買い物をする際も鹿児島産黒豚の一点買いである。ちゃんとした豚肉は誰が何と言おうと牛肉よりウマいと言い切ってしまいたくなる。
かといって牛肉をまったく食べないわけではない。下の画像は暇な時に作ってみた自家製牛丼である。以前、ネットでみたレシピで作った豚丼が美味しく出来たので、似たような感じで牛丼にもトライした。
結果はイマイチ。味自体は悪くないのだが使った肉のせいか固くなってしまった。やはり脂身の多いバラ肉じゃないと牛丼らしさは出ない。結構良い肉を用意した時点で選択ミスだったわけだ。
話は変わる。某日、京橋にある日本料理屋「婆娑羅」に行く機会があった。1年ぶりぐらいだろうか。トマトすき焼きをウリにした店だ。
ウマいトマトを使うだけでなく、牛肉のほかはタマネギしか具材が用意されていない点が私には嬉しい。白菜やネギやシラタキの姿はそこにはない。私の天敵である春菊もない。なかなか素敵だと思う。
すき焼きの前には箱に詰められた八寸が出てくる。これが毎度美味しい。正統派日本料理店の技量が凝縮されている感じだ。
この日はそのほかにカラスミや酒盗を頼んでのんびり一献。八寸を始めこういうチマチマしたツマミを突つきながら過ごすのが嬉しい。
すき焼きはお店の人が作ってくれる。トマトがやたらと美味しい。看板商品だけのことはある。肉汁をまとったタマネギとトマトだけ食べていても満足しそうだ。
すき焼きの肉は普通の和牛と松坂牛が用意されている。いつも普通のほうが食べたいのだが、ここに来るのはたいていが‟おもてなし”の時だから上級バージョンである松坂牛を注文してしまう。私にはちょっと重たい。
肉をつける卵が温かい状態で出されるのも悪くない。こういうひと手間が日本料理の細やかさである。外国人観光客だったらきっといちいち大げさに感動するような気がする。
トマトすき焼きのシメはパスタである。こちらもお店の人がその場で仕上げてくれる。すき焼き鍋の残り汁をベースにしたアルデンテの平打ち麺だ。食べる際に残った卵汁を適量追加投入することで得も言われぬニッポンのパスタになる。
内装も高級感があってゆったりできる。銀座あたりにあったらもっと混むはずだが、京橋という立地のせいか夜の時間帯は大混雑していることが少ないのも良い。穴場だと思う。
トマトすき焼きだけでなく、この店で出すトンカツも非常に美味しい。でも、前に来た時にトンカツのせいですき焼きの肉やシメのパスタにゲンナリしちゃったことがあるのでこの日はパスした。
ウマいトンカツがあるのを分かっているのに注文しなかった自分が残念である。節制という言い訳のせいで自分の魂が弱っていくみたいである。
「つまらない大人にはなりたくない」と歌っていた佐野元春のガラスのジェネレーションでも聴き直して反省しようと思う。
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