先日、ある店でキンキのカマを煮付けにしてもらった際に、新鮮なキモも一緒に料理してもらった。
キンキの肝煮。ぷるっ、ジュワっと適度な弾力とともに口に広がる脂。ゆっくりと味わって、その後30秒くらい余韻にひたってダンマリして、その後、ウーとかオーとかうなってしまった。
キモってどうしてあんなに旨いのだろう。思えばいろんなキモを食べてきた。肉類であれば、鶏、豚、牛それぞれのレバ刺しには目がないし、馬のレバも新鮮極上品を刺身で食べれば、“ミルキーはママの味”とかいう昔のCMソングが頭をよぎるほど旨い。
馬レバ刺しは、モノが悪いと、臭みと渋みが爆発して食べられたものではないが、上等な一品に当たれば、かなり嬉しい気分になる。
いつのまにかすっかり和食党になった関係で、フォアグラはさほど食指が伸びないが、アレはワインと合わせてこそ旨いモノだろうから、ワインが苦手の私にはあまり縁がない。
キモの効用は貧血防止らしいが、20代の頃から血圧が高い私には、あまり関係のない話。
魚貝類のキモといえば、カワハギやカレイ、ウナギにアナゴ、アワビにサザエ、アンコウあたりが思い浮かぶ。どこの店にいてもこれらがあったら注文してしまう。
エサをなかなか獲れない深場にいる魚は、栄養をため込んでおく必要があるため、肝臓がいい感じに脂を蓄える。
聞くところによるとマグロとアンコウでは肝臓の脂肪分に20倍位の違いがあるそうだ。見るからにマグロは健康そうだし、あれだけ泳ぎまくって暮らしていれば脂肪肝にはなりそうもない。ボーとしているアンコウの方が不健康そうだから、キモが旨くなる仕組みだ。
北島康介のように泳げない私だが、きっと私の肝臓は彼の肝臓より旨いのだと思う。
食べてみたいキモといえば、やはりフグ。でも毎年、死者が出ているフグのキモを食べる勇気がない。大体、フグのキモは法律で食べることを禁止されているのだから、コンプライアンス重視の私が手を出すわけにはいかない。
数年前、どこかの大学の研究チームがフグの無毒化に成功した。その技術が一般化すれば、フグのキモ刺しとかをニコニコ食べられる日が近いと期待しているのだが、厚労省がマッタをかけて膠着状態にあるらしい。
佐賀県の一部エリアが無毒化したフグキモを町おこしにも活用しようと、「フグ特区」を国に申請している。無毒化成功という技術を全面的に信用する段階ではないという厚労省の姿勢に、研究者側は反発して議論が続いているそうだ。
許可しておいて、死亡事故が起きれば、国の責任も問われるわけだから厚労省の姿勢も分かる。ただ、本当に信頼できる技術が確立されているのなら、“官の弊害”は迷惑な話。
フグのキモが解禁されたら、私は合宿に行くかのように長逗留して味わってみたい。
2008年8月15日金曜日
キモの話
ラベル: 中年グルメ
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