2008年8月18日月曜日

六本木 寿司

先日、六本木で寿司を食べることになり、どこに行こうか迷った。「なかむら」、「山海」あたりのイマドキの六本木的寿司屋にも何度か行ったことはあるが、あまり私の琴線に触れなかったので、気に入った店がない。

5年ぐらい前に何度か行った「魯山」の存在を思い出した。とりたてて、個性があるとか、他にはないウリがあるといった店ではない。でも、それなりに雰囲気も良く、素材の高級感にも間違いはない。

この店、あちこちに店を構える寿司田チェーンの高級版。チェーン店的な要素を隠して、しっぽり系の街場の高級寿司店の雰囲気を醸し出す戦略。「そこらへんにあるチェーン店なんかヤダ」という客の微妙な心理をうまくついている。

最近は大型外食産業が実は経営母体だったり、後ろ盾がしっかり別資本になっている寿司店が増えてきたような気がする。

こだわり頑固ヘンクツオヤジが自らオーナー経営する寿司屋と違って、この手の“勤め人寿司”はある意味、安心して使える。

店主の強烈な個性を前面に押し出されるパターンとは異なり、平均的にソフトな対応で、良くも悪くも無難にまとまる。客側がそれなりに寿司屋での過ごし方を分かっていれば、その店のポテンシャルは充分に引き出せるし、“寿司経験”が乏しい人であっても、サラリーマン的訓練を受けた板前さん達がそこそこリードしてくれる。変に窮屈な思いをしないで済むという点で、使い勝手がいい。

六本木の「魯山」も5年ほど前となにも変わることなく、良くも悪くもクセはなく、接客も場所柄ソツがなかった。板前さんの顔ぶれは以前とはまるで違っていたが、向こうもこちらも別段構えることなく、適当に旨いモノを食べることができた。

殻付きのウニやいくつか刺身をつまみにアレコレ食べた。何を食べたか詳細に思い出せないが、別にマズいものはなかった。

プライベートで集中して楽しく食べるシチュエーションならともかく、誰かと話し込むような席だったり、ちょっとした人数で会食するようなパターンなら無難に過ごせると思う。

「おまかせ」しか出さない(出せない)格好つけすぎの若い店主が営む“イマドキ寿司”や、気合いが入り過ぎちゃって見ていて気の毒になる“修行僧寿司”、若い小金持ちばかりを信者のように手なずけて悦に入っている“洗脳寿司”みたいなお店が港区周辺には増殖中らしい。

その手の店で、首をかしげるより、無難なチェーン店のハイライン店を選んだ方が快適かもしれない。

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