2012年7月30日月曜日

隣のトロロ

もう夏バテだ。ダルくてしょうがない。オフィスの冷房と外のアホみたいな熱気で、さすがに体調がスッキリしない。

夏バテに効く食べ物といえばウナギだ。日頃ウナギは散々食べまくっているから、夏バテに効くという話はウソだろう。ウナギで元気になった自覚など無い。

いや、ひょっとしたらウナギをマメに摂取しているからこの程度で済んでいるのかもしれない。ウナギを食べまくっていなかったら今頃死んでいたかもしれない。そういうことにしておこう。

俗にネバネバ系食品が、夏バテ防止や元気促進に効果があるといわれる。ウナギもネバネバ系の一種だ。

真相は分らないが、確かにネバネバは身体に良さそうだ。食べた後に善行を施した気分になる。

納豆、オクラ、とろろを「ネバネバ3兄弟」と呼ぶらしい。私の場合、納豆は嫌い、オクラにも殺意を覚えるので、とろろしか仲間がいない。

他にもネバネバ一家には、モロヘイヤとかメカブとか、ナメコとか、海草類なんかが名を連ねる。

函館に旅行する際には、しょっちゅうガゴメ昆布というネバトロベロンチョって感じの昆布を買うのだが、あの昆布も癌まで退治しちゃうスーパー食品だという噂を聞いたことがある。

ネバネバしていれば何でもOKなら、変な話、鼻水とか痰とかも吐き出さずに身体に貯め込めばいいのかと思うが、さすがにそっちは食品ではないからダメだろう。

話がそれた。

ネバネバの元は、糖とタンパク質が結合して出来たムチンという成分らしい。「ムチン」だ。なんか言葉の響きだけでも強力そうだ。ムチン、ムチン、ムチン!!。

ムチンには血糖値を抑制する作用や、コレステロール値を低下させる作用があるそうだ。凄いぞムチン。

おまけに胃の粘膜保護に抜群の働きがあるらしい。胃潰瘍とか胃炎の予防効果もあるのだという。逆流性食道炎だけでなく、最近しょっちゅう胃の調子が悪い私にとっては最高の物質だ。エラいぞムチン。

ケタ外れにムチンが多いのが納豆だとか。私は子どもの頃から納豆が嫌いで、いまだに納豆巻きを作った職人さんに寿司を握ってもらうのに抵抗があるぐらいヤツが苦手だ。

実家の家族はみんな喜々として食べていたが、なぜか私だけ納豆が嫌い。きっと生まれながらにして上品過ぎる人間なんだろう。

仕方がないから「とろろ」と共に生きていこうと決意している。麦飯にとろろをぶっかけてかっ込むのも好きだし、ウナギと合わせて良し、マグロに合わせても良し、なかなか素敵な食べ物だ。

ここだけの話だが、とろろと言えば、子どもの頃にコッソリ見た官能漫画を思い出す。裸にされて縛られた女性が悪者からとろろ攻めにあって身悶えるというトンデモない設定だった。

そのせいか?、とろろを食べる時は自分が裸じゃないことを確認する。とくに下半身がむき出しになっていないか要注意だ。

冗談はさておき、口の周りが痒くならないように細心の注意を払って食べる。結局、すぼめた口で一気に流し込むように食べることが多くなった。食べるというより飲むと言った方が的確かもしれない。

居酒屋に行っても、山かけなんかを頼まずに「とろろだけ貰えますか」とオーダーしてみる。あまりに貧しい感じだから、一応、卵黄だけ落としてもらうバーションが多い。

ネバネバ系の特徴は、身体に良いだけでなく、精力増強、いわゆる強壮作用にもあるらしい。私の場合、そんな実感は特にない。そっちがへばってる自覚など無い?のであくまで夏バテ防止だ。

いや、ウナギとかとろろとか牡蠣とかを一切食べていなかったら、きっと男として大変な事態なのかもしれない・・・。

もとい。

先日、高田馬場・鮨源で、わがままオーダーをしてみた。山かけが用意できるはずだから、当然、単品とろろも貰えるはずだと長年通っていたのに初めて気づいた。


「とろろが飲みたい」。別に変な食べ物ではないが、お寿司屋さんで注文するのは変かもしれない。おまけに、皿じゃなくてグラスに注いでくれと無茶な頼み方をした。

生卵の黄身だけトッピングして貰って、ジョッキにたっぷり「とろろ大盛り」だ。見た目はミルクセーキみたいだ。マドラーまで借りて混ぜ混ぜして醤油を加えて出来上がり。

グビグビと飲む。隣に座っていたほろ酔い状態の見知らぬオジサンが目を丸くして私を宇宙人でも見るような顔で見ている。

うまい!身体が喜ぶ味だ。エネルギーが湧いてくるような錯覚に陥る。

変テコなオーダーではあるが、私から見れば、あの不気味な納豆を巻物にして食べるという神をも恐れぬ行為自体がよほど変テコだと思っている。ただ単にとろろを飲む行為など極めて正常な行動だと思う。

コレステロールを抑えて、胃の粘膜を保護してくれて、おまけに男性機能のサポーターまで買って出てくれるなんて有難いったらありゃしない。

そんなわけで、とろろに夢中だ。例えて言うなら、身近すぎて気づかなかった幼なじみの魅力に突然気づいて激しい恋に落ちちゃったような感じだ。

長く付き合っていきたい。

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