2021年12月3日金曜日

冬の舌


春夏秋それぞれに季節ごとのウマい話を書いているが、いよいよ冬である。寒いのはゴメンだが、この季節ならではのウマいものを食べると幸せになる。

 

何だか年柄年中食べ物のことしか考えていないみたいで恥ずかしいが、食べられること自体が元気に生きている証だ。四の五の言わずにウマいものを食べ続けようと思う。

 



 フグと並ぶ冬の鍋といえばクエだ。九州場所でお相撲さんが食べることでも知られる。東京ではあまり馴染みがないが、個人的に魚系の鍋物としては大好物だ。

 

今回も銀座にある土佐料理「祢保希(ねぼけ)」で食べてきた。カツオのたたきを肴に一杯やりながらクエ鍋が出来るのを待つ。

 

結構な大型魚であるクエは鍋で煮ても身がしっかりした状態を維持するのが特徴だろう。ちょっと煮すぎたぐらいではバサバサにもならない。

 



 しっかりした歯ごたえと旨味。コラーゲンも多いらしいがそちらは私にとってはあまり関係ない。

 

もちろんシメの雑炊がウットリするほどウマいのも忘れてはならない。考えてみれば鍋を食べる動機の半分はシメの雑炊なのかもしれない。

 

冬といえばカニやアンキモも酒の共に最高だ。ズワイのメスである香箱ガニも今が盛りである。

 



 普通に毛ガニを食べたいのが私の本音だが、今の時期はどこもかしこも香箱ガニで攻めてくるのでそれはそれで喜んで食べている。

 

横に写っているのはアンキモだ。蒸したアンキモもウマいが煮物系アンキモも悪くない。ネットリ感がより感じられて酒との相性もバッチリだ。

 

冬を実感させる珍味といえば白子が王様格だろう。その昔はフグの白子が最高だなどと分かったふりをしていたが、定番のタラの白子もモノが良ければやはり極上の味わいだ。

 

安い居酒屋で頼むと失敗しがちだが、そこそこの店なら安心して食べられる。今シーズンは何となく焼いてもらうことが多い。

 



軽く湯がいてポン酢で味わう白子も好きだが、歳とともにどうせなら温かい状態で食べたい欲求が強まり、醤油焼きか塩焼きかを気分に応じて注文するようになった。

 

私は結構な猫舌なのだが、焼いた白子をホコホコ言いながらかじるのは悪くない。なんだか貴重品をちょこっとずつ食べている気がしてくる。

 

10年ほど前は珍味太郎というハンドルネーム?を自称してケッタイなモノまで含めて魚卵やさまざまな内臓系を肴に酒を飲むのが好きだった。

 

http://fugoh-kisya.blogspot.com/2013/04/blog-post_8.html

 

http://fugoh-kisya.blogspot.com/2012/03/blog-post_21.html

 

お医者さんから痛風発作が起きないことを不思議がられる程度に尿酸値も高値安定状態だった。

 

でも熱中しすぎたせいで、だんだんと珍味欲求は以前ほどではなくなり今では常識人として過ごしている。これも加齢だと思うとちょっとだけ切ない

 

アンキモ、白子、カラスミなどの他、ド定番のウニやイクラがあれば充分満足出来るようになった。

 

もちろん得体の知れない特殊な珍味にもウマいものはいっぱいあったが、あくまで美味ではなく珍味という呼び名にとどめておきたいようなモノも随分食べてきた。

 

ああいう冒険心も食を楽しむには大事だが、最近は分かりきったものしか食べなくなった。加齢のせいというより人としてようやく成熟したのだと思いたい。

 

冬の食べ物の話を書いてきたつもりがズレてしまった。





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