唐津焼の陶芸家・浜本洋好さんが作る器が好きだ。わが家の食器の多くが彼の作品。何度も工房を訪ねて、アレコレ選ばせてもらったお気に入り揃いだ。実際に使ってみるまで器の感じは分からない。料理を盛った時の色合いや使い勝手が、購入する前とあとではイメージが違ってしまうことは珍しくない。
浜本さんの作る器は、使ってみると良さを実感できる。自らを陶芸家ではなく陶工と称する彼の謙虚さが表われている。出しゃばらずに素朴で、実用性重視。これ見よがしの良さではなく、さりげなく良い。
唐津焼の中でも人気の作家さんだけあって、各地で個展も開かれる。個展会場では、工房でお会いするときと違って、どことなく「陶芸家の浜本先生」になっているが、旧知の顔を見つけた途端、「陶工の浜本さん」になるところがちょっと可愛い。
唐津焼の有名陶芸家の多くが、豪快で気高い感じの作風だったり、ストイックに稟とした感じをウリにしている。唐津を旅して、飛び込みであちこち作家さんを訪ね歩くと、作品と同様の作家本人の姿勢やオーラに接して結構疲労感を覚える。だから浜本さんの工房はなるべく後半に訪ねることにしている。
どこかホッとするぬくもりを作品同様、ご本人の姿や話から感じることが出来て気持ちがいい。とはいえ、個展出品クラスの彼の作品には、迫力と情熱をたっぷり含んだ逸品も多く、その底力に圧倒される。ポッと出の陶芸家とは一線を画す、熟練陶工の凄さが垣間見える。
団塊世代、シルバー世代の男性に陶芸を趣味にする人が増えているそうだ。ろくろを回すことが目的で始めた人でも、そのうち作るだけでなく、好みの器を集め出すのが通り相場。器好きになったら、必ずはまる唐津焼。浜本さんの器は、ひと言で言って「きちんとしている」。是非、手にとって見られることをオススメする。
2007年11月28日水曜日
浜本洋好さんの器
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