世のオーナー経営者にとって大きな課題が事業承継だ。「社長の最大の仕事は次の社長を決めること」という言葉もあながち大げさではない。
日本企業の大多数を占める同族会社。子供が事業を継ぎたがらない傾向が強まり、中小企業でもM&Aを選択するケースが増えている。廃業を選ぶことは経済的な負担はかえって大きくなることが珍しくないため、M&A資金でハッピーリタイアを考えるのは至極真っ当なことになってきた。
ところで親子間で事業承継が可能な場合、やはり相続問題は難しい課題。相続対策の重要性は認識していても、やはり「Xデー」は「親の死」というデリケートなテーマ。親子があっけらかんと語り合うことは難しい。まじめに議論したくても「そんなにオレに早く死んで欲しいのか」という渇が飛んでくる。かといって、相続対策というシロモノは、事業を受け継ぐ側だけでは何ら対策を打てないもの。あくまで事業を譲り渡す側が自らの意思で資産の配分などを決断しなければ何も始まらない。
巷には民法や税法などの特性や対策立案を解説した指南書が無数に存在する。様々な手法が紹介されているが、実際の現場で重要なのは法律的なテクニカルな話より結局はメンタルな話だったりする。
やはり「ロマン」なき議論はギスギスしたものになりやすい。「オヤジが死んだらさあ」なんて切り出すデリカシーの無さでは建設的な話はのぞむべくもない。
それこそオーナー社長の死後すぐの経営体制や資産処分、税金納付方法の話ではなく、20年、30年後の事業ビジョン実現のための下地作りを親子で設計するぐらいの意識が大事になる。親子双方が夢と本音を織り交ぜながら未来計画を描くようでなければ話は進展しない。
”百年の計”ぐらいの議論を持ちかけるようでなければ話が進まない。だいたい個性豊かなオーナー社長ともなると「オレはまだまだ死なない」と本気で思っているので、あまりリアルな話は禁物というわけ。
事業承継体験者が共通して感じるのは、効果的な対策は分かっているのだが、話が切り出しにくいという点。税法や民法の解説指南書なんかより「親父をそのきにさせる口説き方」を相続対策本として売り出した方が売れるのかも知れない。
2008年1月25日金曜日
事業承継はメンタル面から
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