2008年5月1日木曜日

脱税の心理と懺悔のブログ

映画「ブレイド」シリーズなどで知られるアメリカの俳優ウェズリー・スナイプスが脱税罪で禁固3年の判決を受けた。裁判所としては有名人を一種の見せしめにすることで抑止力につなげる思惑もあるようだ。

http://www.afpbb.com/article/entertainment/news-entertainment/2382860/2863978

納税道義とか納税思想という言葉がよく使われる。分かりやすくいえば、その国の国民が会費としての税金を適切に納める意識が高いか低いかというニュアンスで使われる。

何かとアメリカを憧れとしての比較対象にしたがるわが国では、この問題についても「国家成立の経緯もあって米国では納税道義が高く、積極的な納税を心掛ける市民も多い」といったステレオタイプなプロパガンダが流布されることが多い。

以前、『納税通信』の読者を対象に米国会計事情視察ツアーを実施した際、彼の地の本音を取材しようとアレコレと生の声を拾ってみた。

この時のツアーは、当時、日本が未導入だった電子申告の状況を調査することが主眼だったため、なかなか、税務行政の真相までは調査しづらかったが、それでも興味深い話を色々と聞くことが出来た。

半世紀以上にわたって税金の専門新聞を発行している関係で、独自のネットワークでアメリカの国税庁に当たるIRS(内国歳入庁)も訪ねることができ、取材にも好意的に対応してもらった。

その流れである晩、日本料理店に関係者を招いて、束の間の税務行政談義を展開したのだが、ちょうどIRSを退職したばかりの人物が語った話が印象的だった。

内容はざっとこんな話。「これほどまで脱税が横行しているとは分からなかったし、こんなに脱税のために納税者が研究しているとは思わなかった」。

敏腕調査官として活躍した、いい年をした人物でさえ、公務員生活を終えて民間の事情を垣間見た途端にその実態に驚いたという。

ひねた見方をすれば、何十年も「官」の飯を食っていたからこそ、そんな事情に気付かなかったともいえるが、いずれにしろ「アメリカの納税道義は高い水準で・・・」云々の話は、まるで的外れというエピソードではある。

脱税への欲求って性悪説に立てば仕方ないのかも知れない。欲が理性に負ければ誰にでも犯罪者になりえる。

「私はこうして脱税した」というタイトルのブログを紹介したい。欲におぼれて道を外れてしまった経営者の懺悔録だ。誰もが最初は軽い気持ちであり、出来心からおかしくなっていく。こわいこわい。

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