2008年6月16日月曜日

ボクシング・亀田もM&A


私の祖父は、タニマチ気質を持っていた人で、会社経営の傍ら、いまの私と同じぐらいの歳には、いろんなことに首を突っ込んでいたらしい。

そのひとつがボクシング。昭和30年代は、ボクシングはスポーツの中でも花形で、日本チャンピオンクラスでさえ結構なスターだったらしい。

祖父がタニマチとなったボクシングジムは、今も名門ジムとしてその名を知られる。世界戦にも挑んだ元東洋王者だったボクサーをヒイキにしていた祖父は、彼の引退後、会社の所有施設をジム用に提供し、当時最新の設備も揃えてオープンさせた。

その後、世界チャンピオンを複数誕生させるなどジムは結構盛り上がった。子どもの頃、自宅に遊びに来たチャンピオンと遊んでもらった記憶が私にもある。

いまボクシングジムの問題といえば、亀田兄弟でもちきりだ。前所属ジムとの契約を解消して、最悪引退の危機にあった亀田兄弟サイドが起死回生の策として選んだのが、いわゆるM&Aだ。

http://news.www.infoseek.co.jp/sports/battle/story/12sponichiFkfuln20080612003001/

閉鎖されるジムの名義を取得することで、新しくジムを開設するより、はるかに少ない負担で再起が図れるという。

ボクシング業界のルールでは、ジム代表者にはライセンス歴10年という条件がある。この条件についても、閉鎖されるジムに在席していた人物が、ジム引継ぎ後も残っている形にすればクリアできるそうだ。

昨今何かと話題にのぼるM&Aだが、“ヒールファイター・亀田兄弟”にまでその効用が及んでいることが興味深い。

相撲部屋の合併なんかもそうだが、ボクシングでいえばライセンス、相撲でいえば年寄株など、事業継続に不可欠な「条件」は、欲しい人にとっては、大変な価値を持つ。

今回、亀田サイドにジム名義を譲る側にとっても、ただ廃業するより遙かに生産的な話だ。ジム名義を譲って引退予定のオーナーには、売却によって退職金的な資金が入るし、トレーナーライセンスを持つスタッフも路頭に迷わずに済む。

M&Aがうまくまとまれば、いわゆるWIN,WINの形で、双方ともが笑顔になる。後継者難を理由にする中小企業の友好的M&Aは、この部分がミソだろう。もっともっとこの考え方は広まるべきだと思う。

中小企業の多くが、自社の規模では買い手など見つからないというあきらめの発想に囚われている。そう短絡的に思いこんでしまうことは実にもったいない話。

もちろん、業績最悪、バリバリの債務超過といった企業に買い手はつかない(特別な意図でそういう企業を欲しがる需要もあるが・・・)が、企業規模は小さくても、オリジナリティーの部分で価値が見出されるケースはいくらでもある。

特許や特殊な許認可に関連するような形式的な財産はもちろん、それだけでなく新規には開拓が難しい独特な販路を持っていたり、特殊技術があるとか、地に足を付けて動いてきた企業であれば、結構ウリになる部分は見つかる。

企業を買いたい側は、事業拡大や新規分野進出に本来費やす時間と労力を一気に省けることがM&Aの魅力だ。時間と労力、場合によっては専門的な人材確保まで一気に実現できるわけだから、買いたい側は相当な金額を用意してでも実現を狙う。

メディアが伝えるM&Aは、超巨大企業同士の話や乗っ取り等々の騒々しい話が中心。今回のボクシングジム騒動もアノ亀田兄弟だから話題になっただけで、閉鎖するジムが名義売買をするというだけでは、世の中の話題にのぼることもない。

中小企業の現場では、日夜、後継者難を理由とする事業譲渡の話が飛び交っており、いま必要なのは、適切な仲介役機能だ。

M&A仲介を大々的にうたう専業会社は、どうしても規模の大きい企業同士の仲介にしか視線を送らない。

専業会社でそうなのだから、銀行や証券会社であれば尚更その傾向は強い。仲介手数料を考慮すれば当然、大型案件にしか目がいかない。

だから中小企業レベルのM&Aは、当事者同士が交渉して壊れてしまったり、引受け企業がいつまでも見つからず、結局売り手企業がしぼんでしまうような悲惨なケースが多い。

中小企業の財務的な実態を把握している税理士が全国的にネットワークを構築して、M&Aサポートを実践しているのが「NP事業承継支援協会」。もともと会計事務所同士のM&A仲介を数多く手がけてきたエヌピー通信社が運営母体となっている。

税務財務の老舗専門新聞社が全国1300名の税理士とタッグを組むことで、情報収集能力と情報発信能力の質と量は、おのずと高い水準になるわけだ。

最近は高齢者関係の話題といえば、後期高齢者保険制度の問題ばかり。現場を率いてきたオーナー経営者が事業の行末に苦悩している実態は、大衆相手が原則の大手メディアが取り上げないテーマだ。

実際には、物凄い数の経営者が、「事業承継難民」と化しているのが、現在の中小企業社会の実情だ。ハッピーリタイアのための友好的なM&Aがもっともっと認識されるべきだと真剣に思う。

冒頭の画像で紹介している小冊子をさし上げます。ご希望の方は、下記アドレスまでお申し込み下さい。
info@np-net.co.jp

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