2008年6月17日火曜日

質問には意図がある

唐突なタイトルだが、今日のテーマは「質問には意図がある」ということ。当たり前の言葉だが、常に相手の意図を計って返答できる人は少ない。

初めて入った鮨屋のカウンターであれこれ親切に話しかけてくる親方がいたとする。その客がまっとうな人物で上客になり得る客かどうか、いわば客の値踏みのために賑やかに話しているのだろう。

初めて入った飲み屋のママさんしかり、自動車のショールームでにこやかに話しかけてくる店員さんしかり。商売が絡めば当然、何の意図もない質問を投げかけてくる人はいないはず。

まだ親密な関係には至っていない女性と二人で過ごしていたとする。当然、親密になりたい下心で、男はいろいろな角度からいろいろな(エロエロ?)話を投げかけて相手の反応を探る。

私の場合、女性を相手にすると、質問はもちろん、返答に対する解釈もピント外れが多いのが玉にキズだ。もっとも、タマに傷がつくぐらいハッスルするチャンスを得るには、事前のリサーチは大事だ。

とはいえ、日常の世界で飛び交っているあらゆる種類の質問に対して、いちいち相手の意図を考えて応えてなどいられない。

のほほんと会話しているように見えて、いちいち相手の意図を見極められるようになれば最高にスマートなんだろう。

税務調査にいきなり話は飛ぶ。調査というぐらいだから、要は質問攻めだ。応答する側としては、相手が繰り出してくる質問の意図を考えないと思わぬ事態を招く。

相続税の税務調査を例に挙げよう。相続税調査は、肝心の主役は既に亡くなっている。未亡人や子ども達が、故人の財産に関する質問を受ける。

質問攻めにするのは、百戦錬磨の税務調査官。誘導尋問的なテクニックにも長けている。何気ない世間話のような会話も彼らの意図は申告もれを見つけるきっかけを探ること。

「亡くなったご主人はお忙しく全国を飛び回っていたのでしょうね」。何気ない話のようでもしっかりとした意図はある。

ダンナを誉められた気分になって未亡人があーだこーだとしゃべりはじめれば調査官の狙い通り。

「主人は大阪の拠点拡充に必死で、しょっちゅう大阪に行ってました」などと答えたとする。さて調査官はどうするか。

申告された住所地や勤務場所以外の遠隔地に頻繁に訪れていたことを知れば、その土地の金融機関などに故人の預貯金や資産がないか、さっそく執拗なチェックが行われるわけだ。

「ご主人はなかなかキップのよい豪快なかただったようですね」。こんな調査官の問いかけが意図するものは、ズバリ“人に貸した金はないか”ということ。

男気がある、とか気前がいいといった人物評を調査官は独特の捉え方をする。

「ある時払いの催促なしで後輩にカネを貸していた」などの話にでもなれば、その「返してもらうべき金額」は当然、故人の遺産である。申告上、この手の返還請求権がもれていないかチェックされるわけだ。

このほかにも、亡くなった場所が病院か自宅か、葬儀の規模や様子、趣味の話や生活費の話、生命保険の話題や子どもの学歴など、あらゆるジャンルの問いかけに意図は隠されている。

相続税対策には躍起になっても、その後、高確率でやってくる税務調査の対処法は、世間にあまり広く知られていない。

「相続税調査のすべて」という究極のセットツールには、こうした調査官の質問事例とその意図の解説が50項目も網羅された想定問答集が盛り込まれている。

同セットには、プロの俳優を使って税務調査の様子を再現したドラマ仕立てのDVDも盛り込まれており、その出来映えには現役の調査官も感心するほど。このDVDの評判が一部で話題になっているのだが、実際に同セットを購入した人の意見を聞いてみると、DVDと同じくらいかそれ以上、50項目の想定問答集の評価が高い。

質問に隠された意図を見抜くこと。確かにこれが税務調査にスムーズに対応するうえで大事な要素だ。

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