2008年6月19日木曜日

銀座・数寄屋通り


このブログで銀座の話をちょこちょこ書いてきたが、ひとくちに銀座といってもかなり広いエリアを指す。4丁目交差点を中心とすると京橋寄りか、新橋寄りかで様子は随分違う。

外国産有名ブランドの街という捉え方もあれば、老舗デパートの街という印象もある。私がブログで書いているような話は、主に新橋寄りのエリア。ネオン街としての銀座が中心だ。

大通りより細い路地が好きな私は、日航ホテルや旧電通ビルのある外堀通りや、デパートが並ぶ中央通りより、その中間にある細い通りをふらついていると気分がよい。

金春通り、西五番街、ガス灯通り、ソニー通りなど名称はそれぞれにあるようだが、方向音痴の私としては、どれがどれだかいまだにピンとこない。

並木通り、花椿通りあたりは、さすがにどの道のことだか分かるが、この手のきらびやかな通りよりも、名もないような細い路地のほうが好きだ。

数ある通りの中で私が吸い寄せられのが数寄屋通り。外堀通りと中央通りに挟まれたエリアではなく、外堀通りよりも日比谷寄りの銀座の端っこといえる場所だ。
数寄屋橋跡地あたりから南へ進み、泰明小学校を右手に見ながら、西側のコリドー街と三角形でつながるエリアがなんとなく私にとっての銀座という印象がある。

整然と店が並ぶ数寄屋通りも魅力がつまっているが、コリドー街側に入り組む狭い路地にも、昔ながらの小さい店がひしめき合っていて、お洒落とは縁遠い光景。その分、“オトナな感じ”と“昭和な感じ”が濃厚だ。銀座の中でもどこか東京人のための東京という風情を感じる。

銀座駅方面からモザイク阪急を過ぎたあたりからが数寄屋通りの本番だ。女帝ママで有名なクラブ「J」、向かいには撤退した関西割烹の出井があった付近に勝ち組クラブの「M」がある。「J」の並びには老舗割烹「かなざわ」があって、「M」の並びに以前このブログでも書いた稲庭うどん料理屋の「佐藤養助」などがある。

その向かいには、おでんの名店「おぐ羅」があって、並びのビルには、つい最近近所の裏路地から移転してきた“最高の飲み屋”である「佃喜知」がある。

魚河岸料理と看板を掲げる「佃喜知」は、とにかく料理がすべて美味しい。レギュラーメニューのマグロの中落ちは、いつもうっとりする味だし、つみれも最上級のお吸い物と呼びたくなるレベル。焼き魚、煮魚、何を頼んでも外れない。移転前のせせこましい店は、飛び込みではなかなか入れない混雑ぶりで有名だったが、移転後も、やっぱり飛び込みではなかなか入れない。綺麗になった分、混雑に拍車がかかるのも仕方ないか。

このあたりは数寄屋通りから左右に入り組んだ路地がいくつもあり、車すら通れないほどの細い道にも割烹料理、天ぷら屋、寿司屋などいろんな店がひしめき合っている。

先週のある晩、数寄屋通りに止まった一台のセンチュリー。SPらしき男性とともに降りてきたのが石原都知事。脇目もふらず、一本の細い路地に消えていった。どの店に行くのか野次馬根性で覗いてやろうと思ったが、SPにギロッと睨まれてたじろいでいるうちに逃げられてしまった。

都知事が消えた路地の付近には、「割烹むとう」がある。一軒家のこの店、昭和の風情が漂い実に渋い。だいぶ前に行ったきりだが、料理も正統派で派手さはないが、安心して食べられる店だ。店構えは、飛び込みで入るには躊躇するような感じだが、入ってしまえば、安心快適な空間だ。

この近辺には、このほかにも一世を風靡した小説「失楽園」にも登場した料理屋「三亀」なんかもあり、歩いている人々もオトナばかり。中年以降には居心地がいいエリアだ。

少し離れたところには、牛串の「三福」がある。ここも銀座らしい店だろう。最高級和牛の串焼が堪能できる。色々な部位を1本ずつ味わえるのがいい。しゃぶしゃぶやすき焼きでは飽きるし、焼肉屋の味付けでは酒の肴としてちょっと困るが、ここの串焼なら、焼鳥屋の感覚で少しずつ楽しめる。

アスパラやトマトなど野菜系の串が美味しい。野菜嫌いの私が言うのだから間違いない。

肉はテンダーロイン、サーロイン、ランプといったお馴染みはもちろん、ミスジ、イチボといった珍しい部位もある。一本あたり3千円とかいう価格設定にビックリするが、1万円位のコースを頼めば、いろいろ取り混ぜて上等な肉を堪能させてくれる。なんといっても牛肉なので、そんなに食べられるものでもない。コースで充分満足できる。店の造りもスッキリしていて、どんなシチェーションにも合いそうな店だ。

ダラダラ書いていたら、それぞれの店にまた行きたくなってきた。

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