東京に飲食店はまさに星の数ほどある。特徴があるわけでもないが、何気なく魅力的な店も結構多い。かしこまらず、かといってがさつすぎずに快適に過ごせるような店は貴重だ。
女性をともなっている場合、この手の店は、やはり和食系だと単なる居酒屋になってしまいがちなので、西洋料理系が多い。若かりし頃よく使ったこの手の店と言えば「ラ・ボエム」を思い出す。
そこそこ美味しいものが食べられて、お酒もきちんと揃っているのだから、使い勝手はよいが、その特徴のなさゆえ、つい素通りしてしまう。
こんなことを思ったのは、銀座のオーバカナル(AUX BACCHANALES)にボーっと座っていたとき。カフェとビストロの中間的位置付けのこの店、都内にいくつもある。
紀尾井町のニューオータニの麓にある店と、銀座店しか行ったことはないが、思えば、このお店、使い勝手がいい。
さて、銀座店での話。天気の良かった某日夕方、冬には閉められていた道路沿いの窓サッシは全開で、オープンカフェ状態。店内中央に陣取りながら、ボーッと外を眺めていたら、正面に位置する泰明小学校の校舎にからまるツタの緑がいい感じ。適度な借景になって「銀座の春」を感じるシチュエーション。
店の前を行き交う人々は仕事終わりでホットした表情のサラリーマン、出勤準備で険しげな顔で美容院へ急ぐオネエサン方など多種多様。
夕方5時過ぎから7時くらいは、銀座の「せわしい感じ」を実感できる時間帯だ。新橋寄りの銀座エリアでは、戦闘前の独特な気配が漂う。こういう雰囲気をビールやらシャンパン片手に俯瞰できるのもこの店のオツなところだ。
銀座店に限らずどこのオーバカナルも食事もしっかり摂れる。メニューリストにあまり面倒なものはなく、分かりやすくて真っ当な食べ物にありつける。
ワイン方面に合いそうなものが多いが、個人的には、紀尾井町より銀座店の方が味がマイルドな気がする。
鴨や羊、豚、魚介類など。頼みたいものが無くて困っちゃうという事態にはならない。全体的に量も多いのが良心的。
フレンチ系の食事は基本的に苦手な私だが、狭くて窮屈なビストロや閉鎖的なグランメゾンで肩が凝る思いをするのだったら、この手の店の方が居心地はいい。飲み屋気分でマッタリできる。
こぼれ話1。この日、2件目に立ち寄った酒場で、作家の伊集院静さんと遭遇。狭い通路で向き合ってしまった。すれ違いざま、低い声で「失礼」と去っていった姿がやたらと格好良くてちょっとシビれた。最近、彼の作品を読んだばかりで、その登場人物が格好良かったせいもあって妙に印象的だった。モテる人特有のオーラに敬服。
こぼれ話2。この日、3件目。久々に立ち寄った某クラブ。酔い覚ましのつもりでゼロカロリーコーラを注文。結局コーラのみで退散。しかし、お勘定は普段と一緒。せつない。
2008年4月24日木曜日
オーバカナル 銀座
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