2008年10月8日水曜日

報道と税金

選挙が近づいてきたことで、永田町では、マスコミ対策が大きな課題になっている。

小泉郵政選挙の際のマスコミ報道は、自民党内の刺客騒動一色に染まり、民主党がどんなに立派なことを叫ぼうが、世の中の関心は自民党ばかりに向けられた。結果は自民党の歴史的圧勝。民主党はまるで放置プレイ状態だった。

選挙報道は公正中立が建前といえども、ワイドショーの脳天気な演出に、メディア映えする候補者が出てくれば、対立候補は当然不利。厳密には公正な報道が徹底されていないのがテレビの世界だろう。

もう15年も前の話になるが、テレビ朝日の報道局長が、非自民連立政権実現を目指す報道を指示した事件が起こり、マスコミの姿勢が厳しく問われた。その後も、政党の取り上げ方への政治的公平性は選挙のたびに問題になる。

近く行われる総選挙では、マスコミ的関心は、ただひとつ。すなわち「政権交代があるか否か」。

守る側、攻める側の対比となれば、映像上、攻める側に活気がみなぎるような印象を受けがちだ。変化自体を面白がる大衆心理もあなどれない。

おまけに混乱や失政、閉塞感や社会不安というネガティブな要素は、必然的にそれまでの政権への不満に直結する。現時点では、想像以上に民主党が議席を躍進させることは確実だと断言できる。

そうなったらそうなったで、マスコミは政権政党となった民主党をこき下ろしはじめる。経験不足、きれいゴト集団、寄せ集め・・。いまから目に浮かぶ。

権力監視というメディアの使命は大事だし、尊重されるべきではある。ただ、なにぶんにも巨大メディアには「是々非々」という姿勢がない。いつ、どのようなテーマであっても、旧社会党のような反対・糾弾こそすべてという路線に変化はない。

国の民度にも多分に影響する話だが、政権政党だってスター政治家だって、マスコミを敵に回すことはない。

俗にマスコミ(とくに巨大メディア)は第四の権力といわれ、四権分立なる言葉が使われることもある。そうであるなら、偏向報道の問題は、もっと深刻に考えないといけないし、業界の内輪で浄化を目指すだけでは済まない話だろう。

とはいえ、厄介なのは、この第四の権力があくまで民間の営利会社である点だ。税金で運営されるわけではないため、マスコミ人はもちろん公僕ではないし、利益が上がってこそナンボという価値観で運営されている。

当然、ショーアップによる高視聴率狙いは至上命題になり、政治的公平性にも問題が生じる。なんともグチャグチャした構造だ。

ところで、マスコミを疎ましく思っている国家権力サイドがあたためている伝家の宝刀がある。

広告費課税がそれ。景気にかかわらず、好調な企業の広告需要は安定している。逆に言えば好調企業ならこぞって広告費に儲けを投下する。ここに税金をかけようという発想だ。

企業会計の原則から見て、支出費用に更に税金をかけようというのは痛い話。もし実現すれば不要な経費かさ上げ用の広告支出は当然減ることになる。

一見、好調企業からの税金徴収に見えるが、広告費課税の真の狙いは、国によるマスコミ対策。広告出稿が減れば営利企業であるマスコミの懐に直接響くわけだ。

国としては、いざというときのために、この構想をチラ見せするだけでも、マスコミコントロールに有効だ。

実現させなくても、実現させる用意があると匂わせるだけで効き目はそれなりにあるわけだ。

なんか今日はまとまりのない話に終始してしまった。

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