2008年10月24日金曜日

ホテルのバー

いきなりだが、麻生首相の肩を持つ。「ホテルのバーは安い」。これは正しいと思う。

総理番のぶらさがり取材で、連夜のバー通いを突っ込まれた麻生首相が、少し逆ギレ気味に若い記者に対応していた。

高級料亭や高級クラブをハシゴしているのなら、庶民感情と合わないという批判も出てくるだろうが、ホテルのバーに通っているぐらいでアレコレ批判されるのも気の毒だ。

まあ麻生首相の場合、「幸い僕にはお金がありますから」と余計なことを言ってしまうので、庶民感情を逆撫でするのだろうが、最近の夜の動静に噛みつきたがっているマスコミの姿勢は気持ち悪い。

首相のぶら下がり取材は、慣例で若手記者が担当する。一流大学を出て難関の就職試験を突破してまだ間もないお子さまだ。

世論という目に見えないものをバックにステレオタイプの質問を繰り返すだけの存在だろう。老練の首相が文句のひとつも言いたくなる気も分かる気がする。

連日連夜、はしご酒的に行動している麻生首相だが、行先がデニーズとか、養老乃瀧とか回転寿司だったら、実に気持ちが悪い。だいたい、あの年齢、あのポジションで、そんなところに通うような人間だったら国の舵取りを託すのはコワイ。

取り囲まれている関係者の数や状況を思うとホテルのレストランかバーを選択するのは至極まっとうなことだと思う。

ホテルのバーってごく当たり前に過ごしていれば、街場の気取ったバーよりも安くあがる。一般人の私ですら困ったときにはホテルのバーを目指す。ことさらひゃあひゃあ言うマスコミの姿勢は共感できない。

いつの頃からだろうか。お大尽が世の中の忌避対象になったのは。その昔は、庶民とお大尽との住み分けはっきりしており、まさに「それはそれ」、「あちらはあちら」的な境界が厳然と存在していた。映画「三丁目の夕日」にしても、そういう当たり前を当たり前として描いている。

戦後民主主義とやらの成熟は、なんでもかんでも平等でなければ悪いことだと言わんばかりの風潮を生み出した。金持ちイコール悪いヤツみたいな変なイメージが強まった。

尊敬とか畏敬の念みたいな感性がすっかり乏しくなり、平準化、均質化ばかりが世の中の基準みたいになっている。

大臣の資産公開にしても、貧乏大臣は妙に嬉しそうに貧乏を自慢し、資産家大臣は逆に悪いことでもしたかのように小さくなっている。

なんか変な話だ。日本人の美徳としての謙虚さは大事だが、成功者とか資産家が正々堂々と胸をはれない社会って異常だと思う。

「ノブレス・オブリージュ」。高い階層にいる者は高度な義務を負うという西洋の考え方だって、ひがみ、妬み、やっかみに萎縮を強要される現状では、成り立ちようもない話だ。

しかるべき経歴、しかるべき収入、しかるべきポジションにいる人間が出入りする場所は、必然的にしかるべき場所になる。

こんな下らないことを問題視する必要はないと思います。

0 件のコメント: