「江戸の仇を長崎で討つ」。意外な場所で昔の恨みを晴らすといった意味で使われる言葉だ。
税務調査に関するニュースや話題に仕事柄ひんぱんに接するが、この世界にも冒頭の言葉のような現象が起こりえる。
反税団体の幹部が経営する会社とか財務省批判を展開した出版社などへの税務調査など、俗に報復調査と呼ばれるものは、昔から噂も含めてアレコレ言われている。
お隣韓国なんかでは、政権と不仲の大企業にしょっちゅう税務調査の洗礼があるようだし、アメリカでも、かつてクリントン不倫疑惑の頃、糾弾の急先鋒だった関係先に税務調査が続いたことで、報復調査の存在が指摘されていた。
今回、紹介するのは、その手の報復調査の話とはちょっと違う。報復と言うには意味合いが異なるが、過去の事例が未来に飛び火するパターンだ。
相続税の税務調査は、一定の資産家には高い確率で実施される。オーナー企業の創業者などは、まず間違いなくターゲットにされる。
おまけに調査が入った件数の80~90%から、平均で1千万円近い金額の申告もれが見つかるのが知られざる現実だ。
脱税の意図がなくても、そもそも帳簿などは存在せず、当事者は既に亡くなっている。また、故人の資産なのか遺族の資産なのか判然としないものもあるため、結果的に申告もれは簡単に発生する。
相続税の税務調査では、税務署は、故人に関する生前の資料を徹底的に分析する。ここでポイントとみなされているのが、故人が経営する会社に行われた過去の税務調査実績。
会社への法人税調査と、故人の相続税調査では、まるで種類が違うように思えるが、税務署が重視するのは「姿勢」という点。
生前、経営トップとして、会社の税金とどのように向き合っていたのかがチェックされるわけだ。
過去の法人税調査で、不正がいくつも見つかっていたり、不正まで行かなくても、エグイ節税スキームに精を出していたような実績があると、いざ相続が起きた際にも、“逃税DNA”が根強く残っているのではと色メガネで見られるわけだ。
もちろん、相続税を申告するのは、亡くなった本人ではなく遺族である。遺族の税金への姿勢が問われるのが本当だが、やはり、故人が税嫌いだった場合、生前に相続税逃れを考えていたはずだと疑われるわけだ。
会社への税務調査で、闇雲に税務署に抵抗したり、徹底して非協力を貫く社長さんもなかにはいるようだ。それはそれでポリシーなのだろうが、自分の死後の相続税調査においても、その姿勢が影響してくることは頭の片隅に入れておいたほうがいいかも。
なにかと厄介な相続税の税務調査。ご心配な向きは、日本で唯一の体系的な対応ツール「相続税調査のすべて」を参考にしていただきたい。
2008年10月9日木曜日
江戸の仇を・・・
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