ロンドン、パリへの靴買付け旅行を断念して悶々とする日々だ。思えば私のモヤモヤ病は、震災後遺症ではなく、「旅行断念続き」が原因のような気がする。
昨年秋の函館行きを風邪で断念、冬の流氷旅行は天候のせいで断念、東南アジア方面への水中撮影計画も津波映像のトラウマで断念、そして欧州靴買い旅行も断念。
趣味というより生活の一部になっている旅の段取りが狂うと心身のリズム、バランスも狂う。
先日、久しぶりに出かけた神楽坂のイタリア料理屋でパスタをしこたま食べながらそんなことを考えていた。
スパゲッティという呼称が普通だった昔からパスタに目がない私だ。50年ぐらい前からイタリア料理店に行っていたらしいハイカラな母親の影響で幼い頃から結構色々なパスタを食べた記憶がある。
その日、特製パスタを食べながらイタリアが私を呼んでいる?ことにも気付いてしまった。
7月ぐらいにふらっとイタリアに行く決意を固めた。家族を置いて一人旅用に航空券もこそっと手配してしまった。
ロンドン、パリへの予定がイタリアに変わってしまった理由は、きっとパスタのせいだ。でも「一人メシ」の習慣など無いイタリアだから食事には困るだろう。
仕方がないから現地合流してくれるオードリー・ヘップバーンのような女性をこれから探すことにしようと考えているフラチなグレゴリー・ペック似?の私だ。
さて、私のイタリア行きを決意させたレストランは神楽坂にある「ステファノ」というお店。小さい店ながら味は絶品だ。
その昔、さんざんイタリアンばかり食べまくっていた頃なら週に一度は通ったはずだ。何を頼んでも間違いなく美味しい。
オーナーのステファノさんと以前からチョットした縁があったので時々お邪魔するのだが、メニュー以外のオススメを聞くのも楽しい。
この日、「前菜の段階からパスタが欲しい」という私の邪道なリクエストに応えて登場したのが「具が無い手打ち麺」だ。
「具が無い手打ち麺」などと表現するより、「自家製手打ちパスタの焦がしバターソース」と言った方が正しいしウマそうだ。
貧乏な人が食べる一品のような気もするが、風味もコシも抜群の自家製パスタそのものを味わうには最適な料理法かもしれない。焦がしバターにパルメザンチーズを合わせて味付けしてある。麺好きにはタマランちんだ。
もともと、冷やし中華だって具が無い状態で食べるのが大好きで、お寿司屋さんでもネタ無しでシャリだけもらうこともある私だ。初体験であるパスタでの具無し体験に妙に興奮した。
この日は、アスパラと豚肉のパスタも食べてみた。野菜嫌いなくせにぺろっと食べたのだから大したもんだ?。こちらはマカロニのように中が空洞になったブカティーニという麺。味が染みて美味しい。近所でブカティーニの乾麺を見つけたことがないので、今度どっかで調達しようと思う。
昨年から急に靴集めにハマって随分買ってしまったが、今のところ、英国靴よりもイタリア、フランス系の洒脱なシルエットに惹かれている。フランス料理が苦手な私が選ぶ旅の目的地は必然的にイタリアになるわけだ。
イタリアには過去に2回しか行ったことがない。1回目はヨーロッパ周遊で数日しか滞在しなかったのだが、扁桃腺が爆発してずっと寝込んでいたので、パスタ三昧はできなかった。
2度目の際には、一週間ほど毎日朝昼晩ともパスタを食べてリベンジした。トスカーナのシエナで食べたポルチーニパスタで悶絶した記憶がある。
正直言うと、日本の真っ当なイタリアンレストランで食べるパスタの方が平均的にウマいと信じているのだが、それはそれ。本場で食べる時には本場にいる高揚感があるので、独特のウキウキ感がある。
まあ、旅の一番の楽しみは計画段階にある。あれこれと思いをめぐらせているだけで気分が明るくなる。今回もまた断念するようなアクシデントが起きないことを祈ることにする。
2011年5月9日月曜日
イタリアが呼んでいる
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2 件のコメント:
富豪記者様
いつも貴殿のブログを楽しく拝見させて戴いております。「ステファノ」が思いがけずご近所でしたので、週末のランチに早速行ってみました。おそらく今まで食したイタリアンの中では一番美味しかったと思われます。とても繊細で新鮮な素材たちが非常に仲良く調和し合っているお味で、薄味の和食にも通じるものを感じました。本当にありがとうございます。また神楽坂の隠れ名店、イタリアご訪問時のお勧め場所など、是非ブログでご紹介下さい。宜しくお願いします。
匿名さま
コメント有り難うございます。
ステファノさんがご近所とはうらやましい限りです。
「和食にも通じる」との表現は実に的確で思わずうなずいてしまいました。格好ばかりの店に比べると誠実で適価だと思います。
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