「元気になる食べ物」って本当にあるのだろうか。ニンニクで元気になる、馬肉でパワーもりもり、ほうれん草でポパイになる、モロヘイヤは最高だ等々、食べたらたちまち元気になるようなフレコミの食品は数多く存在する。
葉っぱや干物ばかり食べていた江戸時代ならともかく、飽食の今の時代は誰もがエネルギーをしっかり蓄えているから、一気に元気が回復する食べ物なんて本当にあるのだろうか。
年齢的にも行動的にも疲れが溜まりやすい私は馬肉やらウナギやらトロロやら俗に疲労回復に良いと言われる食べ物を割と積極的に食べるようにしている。
でも食べた翌日に疲労回復を実感したことなどない。迷信か単なるウソなのかと思ってしまうのだが、逆にそれらを食べなかったらもっとバテバテだったかもしれないと思い直して凝りずに食べ続けている。
鰻屋に行けば鰻重だけでなく白焼きも食べるし、馴染みのお寿司屋さんでもウナギのくりから焼きを必ず食べる。
ウナギを食べた後にエネルギーが湧いてきた感覚はない。でも何とかフラフラせず生きているのはウナギ効果のせいなのだろうと都合よく解釈している。
こういう「思い込み」が世の中の健康産業などを支えているのかと思うとちょっと悔しい。うまく丸め込められたような気分にもなる。
青汁やサプリもずいぶん飲み続けているが、きっとスパっとやめたって私の身体には何も変化はないのだと思う。
でも、でもである。遠からず還暦を迎える歳なのにどこにも不調はなく時には若いオネエサンのお尻を追っかけている自分の状態にサプリたちが微妙に影響を与えている可能性があるとしたら一気にやめちゃう勇気はない。
最近、新たに「チアシード」なる植物を摂取するようになった。スーパーフードという言葉に惹かれてロクに効能も知らないのに毎朝ヨーグルトに混ぜて食べている。
ダイエット効果ぐらいしかないという指摘もあるが、オメガ3なんちゃらを豊富に含んで抗酸化作用が強いらしい。オメガ3なんちゃらの意味も抗酸化という言葉の意図するところも何も知らないのだが、とにかく「スーパーフード」という用語に妙に魅力を感じている。
ムダかどうかはきっと死ぬまで、いや死んでも分からないのだろう。でも食感がキウイを食べているようなつぶつぶ感があって悪くない。無味無臭だからヨーグルトに入れたら食感に変化がついて案外クセになりそうである。
先日、夏バテ気味だったので珍しく韓国料理屋に出かけた。サムギョプサルをたんまり食べた。画像は撮っていないがサンチュに肉を載せてそこにネギやキムチもどっさりトッピングしてむしゃむしゃ食べた。
ニンニクも結構入っているし、どことなく疲労回復に効き目がありそうな気がしてガッツリ食べてみた。鉄板で焼いたタマネギに別皿で出てきた白髪ねぎ、それにキムチにキノコ類まで葉っぱでくるむわけだから元気のもとになるはずと信じて食べた。
シメにはビビン冷麺である。辛さもしっかりあってこちらも夏バテ対策に意味がありそうな味だった。心なしか食後は元気になった気分がした。
しかし、翌朝起きてもいつも通りのダルさは改善されていなかった。食べ物の影響はやはり期待できないのだろうか。まあ、この程度で元気もりもりになるのなら韓国人には疲れている人がいないという理屈になるから無理もない。
とかく元気の源は肉だと言われるからちょっと苦手になってきた牛肉も時々は意識して食べるようにしている。さすがに赤身中心である。
いつのまにか「上ロース」みたいな「上」とつく肉は選ばなくなった。「上」は間違いなく脂が多い。真っ赤っ赤の肉を求めると必然的にメニューの中の一番安い肉を選ぶことになる。お金に困っている人みたいでちょっとシャクだが見栄を張ってもクドい肉が出てくるだけだから仕方がない。
カルビばかり食べていた若い頃は朝も昼も夜も元気だった。ひょっとするとあの脂ぶりぶりの肉が元気の源になっていたのかも知れないと勘違いしたくもなる。
我流を貫いてとろろやウナギやタマネギや馬肉なんかで元気回復を狙ってきた私だが、それらの効き目にあまり実感が持てなくなったいま一体何をどのぐらい食べるのが正解なんだろう。
食べたら速攻で元気回復効果がある食べ物を知っている人がいたらぜひ教えてほしい。