2008年4月2日水曜日

オークラとグランドハイアット

東京ホテル戦争などという表現が聞かれるようになって久しいが、確かにこの超巨大都市にしては、世界的な知名度のある高級ホテルの数はまだまだ少ない。

香港やバンコク、クアラルンプールなど活気あるアジアの大都市には、世界的チェーンホテルがてんこもりだ。都市としての規模の違いもあるのだろうが、やはり東京にはもっともっと進出してきてもおかしくない。

地価が下がってヨーロッパのブランドショップが続々と銀座に進出したように、世界の一級ホテルはもっと登場していい。日本のサービス業への刺激にもなるわけだから消費者としては大歓迎だ。

先日、ホテルオークラに行く機会があった。独特な路線を熱烈に支持する人も多いが、さすがに要所要所に限界を感じた。今現在のコアなファンの年齢層を考えると、近い将来のヤバそうな感じがプンプン漂う。

日をおかずに六本木のグランドハイアットを訪ねた。今風だ。好みはどうあれ、あれが今の東京の空気なのかと実感する。

シンプルモダンと表現すると単純すぎるが、気のせいか、東南アジアの都市に乱立するスノッブかつモダンなスタイリッシュホテルのノリと同じように感じた。

良くも悪くもすっきりしていて“濃厚さ”が足りない。個人的な好みを念頭に置いての寸評だが、年月が醸し出す臭いのようなものを感じない。

グリルレストランで人気の「オークドア」。スタイリッシュで賑やか、料理も美味しかったが、お店に入るまでの作りは高揚感をあえて感じさせないような感じ。エレベーターを降りて店の入口まで、ちょっとした距離だがあまりに無機質なことに拍子抜け。あのスタイルが「いまどき」なんだろう。

アマノジャクゆえに出来たての場所、話題のスポットをつい敬遠してきたが、ペニンシュラとかマンダリンとか、そろそろ誰も話題にしなくなったので、今更だがじっくり探検してみようかと思う。

でも東京土着人としては、悪く言ったもののオークラのあの空気は嫌いではない。帝国ホテルしかり、ニューオータニしかり、どことなく安心する。年月を経た良さをつい過剰に評価する癖があるのかも知れない。

ちなみに上記の“いまさら3巨頭”を持ち上げてまとめにするのは、あまりにも脳がないので、別なホテルの話。

目白台のフォーシーズンズホテルは素直に抜群の存在だと思う。もちろん、都心のホテルというカテゴリーからは外れてしまうが、椿山荘の庭園を背景にした眺望抜群の立地、シンプルモダンの対極のような重厚感のあるインテリア、行き交う人の少なさによる落着き感、デカ過ぎないために分かりやすい館内動線。そして、老舗とはいえないまでも既に15年以上の実績があるため、そこそこ熟成した雰囲気も出ている。

実にお洒落だと思う。初夏には蛍も飛んでます。

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