2008年12月19日金曜日

派遣切りって悪なの?

連日のようにニュース番組が騒いでいる「派遣切り」。雇用の安定は国にとって大事な課題だから重要ニュースであることは確かだろうが、最近の“空気”はちょっと気持ち悪い感じがする。

呆然とする中高年、涙まで流す中高年の映像と言い分ばかりがテレビ的には多用される。やれ一方的だ、冷酷だ、住むところまで追い出される等々、いつのまにか会社側が悪者であるかのような雰囲気が出てきた。

仕事を失う人達には気の毒な話だが、端的にいって仕方のない話。それだけの話だろう。人員整理する企業や経営者がヒールのように位置付けられかねない風潮はおかしい。

多くの場合、派遣社員や契約社員の契約を更新しないという話であって、労使ともに、期間限定の雇用スタイルは最初から織り込み済みの話。非正規雇用の従業員を業績次第で増減させるのは、ごくごく普通のリスクマネジメントでしかない。

派遣や契約というスタイル自体が、業績悪化時の固定費削減を想定したものなのだから、いざ、その効用が発揮された段階で、まるで不当解雇のようにイメージされるのはバカげた話だ。

どうにも情緒的な報道が多すぎる。人員削減で悪者視されたくない会社が、変な世相におもねって無理な雇用を続けて結局倒産しちゃったらどうするのだろう。そっちのほうが大問題だ。

一連の報道では、削減される人達の住宅問題がクローズアップされた。「雇用契約を打ち切られたから、退居を迫られている」。要はそういう話。お気の毒だが、やはり仕方のない話としかいいようがない。雇用関係のない人に会社資産である社宅を提供し続けるわけにもいかないのは当然のことだろう。

もっとも、中小企業経営者から見れば、一連のニュースで印象的だったのは、非正規雇用の従業員にも社宅が用意されていたという事実だろう。これ自体が中小企業経営者の感覚からは驚きだ。

勤め人の数は経営者の数より圧倒的に多い。世論という名のマスコミ誘導は経営者の意識とはほど遠いところで動いている。

誰も助けてくれない中小企業経営者の思いや本音は、巷を騒がす観念的なニュース報道とはまったく違う次元にあることを改めて痛感する。

5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

>派遣や契約というスタイル自体が、業績悪化時の固定費削減を想定したものなのだから、いざ、その効用が発揮された段階で、まるで不当解雇のようにイメージされるのはバカげた話だ。

ようやく、製造業への派遣が問題になったということだと思いました。こうしたニュースを見て「観念的」と言うところに、ブログ主さんのものの見方が出ていますね。大企業の経営者が、従業員からかけ離れてしまっていると考えることはできませんか。実際、そう感じて辛い思いをしている経営者はいると思います。

ところで、その社宅ですが、会社の建物なら、減価償却してますか? 他から借りているのなら、会社が払う家賃は、費用になってますね? 節税対策ということはないのですか?

まぁ、世の中、困っている人が少ない方が良いと「感じる」ことができるか、できないかですね。。

富豪記者 さんのコメント...

コメント有難うございます。いつの間にか当たり前のように普及した非正規雇用という仕組み自体が、経営者と従業員の心情にものすごい大きな隔たりを作っていることは確かでしょう。語弊はありますが、数百人、数千人規模で非正規雇用を導入している規模の会社であれば、ボードの意識はそうした従業員をツールのひとつとして捉えているのが現実であり、「○×一家」的な家族意識、村意識は無くなってしまっていると思います。
 
社宅の償却や借り上げ費用による節税効果はご指摘の通りかもしれませんが、中途半端な温情によって居住を認めることで、ゆくゆくややこしい居住権の問題として企業のリスクになる恐れも考えられませんか。あまり詳しくありませんが、居住権的な権利は所有者側にとって、非常に厄介なことだと思います。
いずれにせよ立場の違い、ポジションの違いによってモノの見方や見解が相容れないケースの象徴のような事象だと思います。

匿名 さんのコメント...

自分も同じ事を思っていましたが
自分のBlogでは荒れるのが怖くて書けず、、、
明快な論調に胸がスッとしました。
やはり、契約で身の上を左右される立場なら
いつ突然切られても食うに困らぬよう
平素から準備しておくのが当たり前だと思うのです。
あと、突然契約を打ち切られた派遣社員は救済すべきで
何年も住む家を持たず街を彷徨う人々には
特に関心も無いという世間の風潮に
疑問を感じずにはおれません。

富豪記者 さんのコメント...

コメント有難うございます。やはりこのテーマは関心が高いようで、昨日のブログのヒット数が通常より遥かに多くてチョットビックリしています。大衆迎合的巨大メディアでは、どうしても派遣切りそのものを問題視するかのような視点が中心になり、それに疑問や嫌悪を感じる人々はネット上で、熱く議論を展開しているようです。

巨大メディアは、あいも変わらず自殺者が増えるとか扇情的な報道に終始しています。あまりに一面的で企業経営者層にとっては気持ちの悪い風潮はまだ続きそうです。

派遣切りの中でも確かに救済が必要なインモラルなケースもあるようです。契約を反故にされるような一方的な解雇であれば、当然、雇用主たる人材派遣会社は派遣先企業に賠償請求等が可能なはずで、このあたりの実務上の展開がどうなっているのか、そうした部分が、切られた当人に還元されているのか、といった問題も気になるところです。

匿名 さんのコメント...

小泉元総理を最大限に褒め称えたマスコミが、最大限に政府批判をしていますね。

当時は、派遣に疑問を示していた論者に見向きもしなかったくせに。

しかも、派遣村。
半数は「ホームレス」だったのは事実なのに、某大臣の「本当にまじめに働こうとしているのか」発言に猛攻撃!

マスコミは終わったなと思った。