2011年4月11日月曜日

ソースだろう

私はソース太郎だ。ソースか醤油かという論争は目玉焼き業界やアジフライ業界で昔から活発に展開されているが、私は断固ソース派だ。

トンカツを醤油で食べる人がいるらしい。人の道に反していると思う。目玉焼きやアジフライも逆立ちしたってソースがいい。

考えてみれば、アジフライのアジは、あのアジだ。魚のアジだ。アジにソースという組み合わせは根本的に不気味ではある。それでも衣をまとった瞬間、ソースが抜群の相性を発揮する。不思議だ。

海外旅行に醤油を持参する人は多い。でも、私が持参するのは醤油ではない。コンビニで売っている小瓶の中濃ソースだ。これがあれば、世界中の揚げ物を相手にしても無敵だ。ソーセージや目玉焼き方面が登場してもバッチリだ。

醤油の偉大さはもちろん認めている。私が最も好きな食べ物である寿司にしても醤油がなければ、食えたものではない。

一度実験したことがある。極上の本マグロの刺身や握りを醤油なしで口にしてみた。結果は当然散々だった。単純にマズい。

どんな寿司でも醤油の味があって初めてウマいマズいを語っていることに気付いた。醤油は醤油で偉大だ。

とはいえ、醤油とソースのどちらか一方しかこの世に残らないと考えたら、私はソースを選ぶ。

一人暮らしの若い頃、おかずを作るのが面倒で、炊きたてご飯にソースを適量まぶしてワシワシ食べたこともある。

まだソーメンチャンプルーという存在が現地以外で知られていなかった数十年前から、余ったソーメンは油で炒めてソースをかけて食べていた。

私にとって頼もしい存在であるソース。いや、誰にとっても有難いはずのソースだが、そのたぐいまれな偉大さは、国民の間で高く評価されていない。世界に誇るべき存在なのにテキトーな位置付けだ。そんなことで良いのだろうか。

醤油に関しては、日本中でスペシャルな逸品が職人技の集大成のような扱いで神々しく販売されている。気の利いたスーパーに行けば全国各地の極上醤油が百花繚乱だ。

対するソースはどうも分が悪い。どことなくB級調味料のような位置付けだ。決まったメーカーの決まったソースを疑うことなく漫然と使い続けている。

エラソーに書いている私だって、基本的にはそこら辺で打っているそこら辺のソースで満足している。それでもソースが好きだ。

思えば、海外に行っても大きなスーパーで醤油は手に入る。ソースといえば、せいぜいマズいステーキソースぐらいしか置いていない。日本製のあのソースはまず売っていない。

「ニッポンのソース」。我々にとってはごくごく日常の調味料だが、外国人にまだ知られていない日本独自の味と言える。実に貴重だ。

先日、所用で大阪に行った。江戸っ子として「大阪的なモノ」が基本的に苦手な私だが、大阪のソース文化には大いに共鳴する。

粉モンがどうこう言い出せばキリがないのだが、それはさておき、ソースをベットリ塗りたくる大阪の心意気は素晴らしい。

泊まったホテルの地下にお好みチェーン「千房」のゴージャスバージョンである「プレジデント千房」なる店があった。富豪としては行かねばなるまい。それにしても凄いネーミングだ。

で、行ってみた。目の前で手際よくステーキを焼き上げる洒落た高級鉄板焼き店の風情。とはいえ、漂うのはソースが焦げるアノ麗しき香りだ。

いろいろ食べた。お好み焼、モダン焼き、何が違うか良く分からないがソースバンザイだ。ネギ焼きなる一品が醤油ベースの味付けでギョッとしたが、世の中にはソース嫌いもいるだろうから仕方ない。

でも、お好み焼き方面で醤油味に出くわすと、ヘタに関東に媚びを売っているみたいに感じる。どうだろう。

この日、私を感動させたのが「ソバメシ」だ。何年か前に全国的に流行の兆しがあったが、いつの間にか消えて無くなった変な食い物だ。

その名の通り、ソース焼きそばと同様の味付けのご飯がミックスされている実に品の無い?一品だ。

「炭水化物オン炭水化物」といえば、「焼きそばパン」がある。あんなものが日本中で市民権を得ているのだから「ソバメシ」も非難されるいわれはないのだろう。

私のようなソース好き人間にとっては、ある意味究極の食べ物かもしれない。

この日は、目の前でコックさんがうやうやしくソバメシを作ってくれた。背高帽のコックさんが、ご飯と焼きそば、キャベツ、みじん切りにした紅生姜なんかを丁寧に混ぜ混ぜ炒めている。大阪ならでは?の不思議な光景だ。

適度な火加減の目玉焼きがトッピングされて完成。うやうやしく皿に盛られる。目玉焼きをグチャグチャとツブして更なる混ぜ混ぜを繰り返す私。匂い立つソースの香り。

その昔、初めてソバメシの存在を知った時の印象は「汚物かい?」だった。失礼ながらそう見えたのだが、そんな見た目にもかかわらず、ソース好きなら引き寄せられる魅力がある。

「口の中に広がる魑魅魍魎たちにたじろぎながらも味覚中枢は拒めない快感にのたうち回る」。あえて表現するならそんな感じだ。

こんなものを初めて作った人間はエラいと思う。ついでに言えば、こんなものをメニューに加えて堂々と商売道具にした人間も凄いと思う。

とても変チクリンなのにクセになる味だ。ブログ用に画像を撮ろうと思ったが、見た目が汚いのでやめた。

3 件のコメント:

悶々 さんのコメント...

拝見していてふと思ったのですが、ソースは粉モノと相性がいいのかも知れませんね。
玉子は例外ですが、フライの衣も麺類も、みんな粉を使ってますから。わたしは肉まんや焼売に中濃ソースが好きなのですが、粉だと思うと納得です。

富豪記者 さんのコメント...

悶々さま

焼売にはソースですね!
あと、一日経った天ぷらとかもソースです。

ちなみに「肉まんにソース」は未体験でした。
まだまだです。ソースも億が深いですね。。

ほうく さんのコメント...

今さらですが肉まんにソース、結構やってます。
場合によってはそれに辛子もつけたりします。ぜひお試しを。
そう言えば死んだじいさんが昔関西のソース会社に勤めていたらしいって聞いたこともあって、久しぶりにそれを思い出しました。