ウツウツした気分になりがちな冬が終わり、深呼吸が心地よい季節がやってきた。中国からの変な物質のせいで、深呼吸するたびに少しビビるのも確かだが、冬より春は気持ちがよい。
冬が終わると唯一残念なのが、珍味の季節も終わるということ。流通技術の発達で今では一年中ウマいものが食べられるし、キモ系に代表される珍味も季節を問わず楽しめる。
それでもやはり珍味は冬の「季語」である。
ここの店主は珍味をアレコレと作り出すことを楽しんでいるようで、ふらっと入ってもいろいろな珍味がある。数日前に予約しようものなら物凄くたくさんの珍味が待ち受ける店だ。
握り自体も十二分にウマいものを食べさせてくれるのだが、ついつい珍味中心で飲みすぎてしまう。
本格的な春の到来を前に、珍味晩餐を催すことで「また次の冬までさようなら」みたいな覚悟が定まる。この日はまだまだ真冬の気温だったので熱燗が染みた。
熱燗も春が深まり、初夏の頃になればあまり飲まなくなる。そういう季節感みたいな趣が日本人の食文化の楽しさであり、奥深さなんだろう。
珍味といえば魚卵も必須である。上の画像はブドウエビとボタンエビのタマゴ、下の画像はマスコだ。北海道直送のネタを揃える店だから、いとも簡単にこういうものが出てくる。ウッシッシである。
私の場合、慢性的に尿酸値やコレステロールが高いから、珍味攻めに務めた日の翌日はなるべく珍味には目を背ける食生活を励行している。
1週間以上、南国に滞在する直前だったので、この日は珍味丸出しOK?の日だった。南国潜水旅行では、茹ですぎパスタやチャーハン、鶏肉料理ぐらいで過ごすから、珍味攻めが重複する恐れはない。
そんな理由もあって、画像以外にもフグの白子、アワビの肝やウニやイクラなど身体に悪いものをパクついた。煩悩の塊みたいな食生活だ。
幸せな時間だった。
さて、魚方面の珍味以外に私をトリコにするのが鶏肉方面の珍味である。
豊島区某所にある某焼鳥店に常備してある白レバの刺身やその他の珍味を一時期、最低でも一週間に一度は食べていた。
店が住まいの近所にあったせいで、ヘビーローテーションだったのだが、引っ越したせいで縁遠くなり、しばし「白レバ難民」になって困っていた。
この画像は、大塚にある極上焼鳥の店「蒼天」で食べた逸品だ。
上が刺身盛り合わせ、下は燻製盛り合わせである。白レバの刺身もスモークも味わえるのだから天国である。トロッとした甘味が口の中で広がって身震いするほどウマい。
黄色いボール状のものはキンカンのスモークだ。生育途中のタマゴである。いわば卵黄の赤ん坊みたいなものだ。軽く燻製されているだけなので噛めばドロッと禁断の味が溢れる。
串焼きもいろいろな変わった部位を用意してあり、それぞれニコニコしちゃうほど美味しい。
定番のレバ串がこれまた絶品で、エラそーに勿体ぶって供されるフレンチのフォワグラなど敵ではないと言えるぐらい最高だ。
それにしても「ウヒョ~」と唸ったり、「ヨッシャー!」と叫びたくなる味のものってどうして全部が全部カラダに悪いのだろう。
珍味類はその最たるものだ。きっと、肝だの卵巣だのタマゴまで食われてしまう魚や鶏の恨みの念が関係しているはずだ。怨念によって、食った側の人間をジワジワ攻撃しているのだろう。
「僕が僕であるために勝ち続けなきゃならない」。尾崎もそんなことを歌っていたから、私も珍味達の怨念に負けないようにしようと思う。
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