分かっちゃいるけどヤメられない!
植木等のスーダラ節みたいな言い回しだが、人間の業とか煩悩って、結局そういうことだ。
食べ過ぎちゃいけないのに食べ過ぎる。タバコは有害と分かっていても吸いたくなる。夜更かししちゃダメなのにダラダラと過ごしちゃう。
行動のすべてが煩悩や業との戦いである。
日本エレキテル連合の白塗りじゃないほうの「細貝さん」なんて煩悩の塊である。
「いいじゃないの~~~」。あのトーンで迫っていく姿は煩悩まる出しである。
まさに、分かっちゃいるけど・・・の世界である。
中国だかの故事に仏教の神髄を端的に表した話がある。
ある男が仏教の神髄を高僧に尋ねた。返ってきた答えは「善行に励んで悪行をしないこと」。
あまりに単純な答えに男は反論する。「そんなこと3歳の子供だって知っている」。
それに対する高僧の答えは「3歳の子供すら知っていることが80歳になってもなかなか出来ない」。
そういうことである。
人生あらゆる場面で「分かっちゃいるけど・・・」のオンパレードである。
なんでこんなことを書き始めたかというと、先週このブログで熱く語ってしまった不倫ドラマ「昼顔」のせいである。
前回の放送では、上戸彩が演じる平凡な主婦が不倫相手の嫁からぶっ飛ばされた。クライマックスに向けてエンジン全開である!
不倫や浮気って、人間の煩悩の最たるモノかもしれない。実行した人すべてが「いけないこと」と認識している。そこが不思議である。
いけないと思っているならヤメとけばいい。それだけの話。でも、なぜか一線を越えてしまう。いけないことだと分っているから必死にウソをついてごまかそうとする。
ハタから見れば滑稽ですらある。でも、もし自分が当事者になれば人様を笑えないマヌケぶりをさらすのだろう。
だから、もっともらしい安直な批判には違和感がある。不倫経験者が自戒と反省を込めて他人を制するならともかく、単に教科書的で正論に過ぎない批判はうっとうしい。
優等生がささいなことを先生に言いつけるような気持ち悪さに似ている。そんな正論をぶつほどアンタはご立派な人間なのか?と言いたくなる。
まあ、そんな居直りは屁の突っ張りにもならない。やはり禁断の果実は口にしてはいけない。現に必死に踏みとどまっている人の方が多いと思う。そっちが正解。一歩踏み出しちゃったら負けだ。
負けとはいえ、それでも、「煩悩に負けちゃった正直者」を頭ごなしに否定するのは何となく収まりが悪い。誰もがそんな境遇になり得るという理解は持っていたい。
実際、多くの人が無意識のうちに不倫している人を軽蔑する。無条件で卑下する。まさに一刀両断である。まあ、結婚制度を元にした社会の安定を考えたら仕方のないことだ。
ドラマ「昼顔」の上戸彩も当初はそういう設定だった。初めのうちは不倫ばかりしている吉瀬美智子に異常なまでの嫌悪感をみせていた。でも、いつのまにか自分も不倫妻になってしまう。
おまけにシャレにならないほど「不倫ドツボ」にはまって、気が弱い人だったら自殺しちゃいそうなほど煮詰まっている。
バカである。
確かにバカだが、それが人間の本性だろう。いや、本性というより、人間の面白さと言い換えてもいい。
「酒もタバコも遊びもやらず、それで100まで生きる馬鹿」という名言がある。まさにそういうこと。長生き自体はもちろん尊いが、人間として面白く人生を楽しんだかどうかは別問題。
俗に「人間らしさ」という言葉があるが、あれも結局、どれほど煩悩や業と正面から格闘したかという意味合いが強いのだと思う。
ダラダラと結論のないことを書き殴ってしまった。
ドラマ「昼顔」に話を戻す。劇中の名セリフがなかなか興味深い。ネット上には「まとめサイト」も溢れている。
このドラマ、売れっ子の女性脚本家が手がけている。これまでもさまざまなジャンルの作品を作り出している人だ。
きっと、卓越した取材力が持ち味なんだろう。リアリティーに溢れたセリフがテンコ盛りだ。素直にプロの凄さを思い知った感じだ。
~不倫にゴールはない。ゴールがないということは終わらせるのが難しいということ~
~不倫の恋は2人で嵐に揺れる小船に乗っているようなもの~
~不倫は、することの罪よりもバレることの罪の方が大きい~
~結婚は平穏と引き換えに情熱を失うもの~
~男の恋はすべて肉欲。それこそやり逃げした男と思われたくないから維持するだけ~
うーん、なかなかグっとくるセリフばかりだ。思わず強くうなずいちゃう人も多いのでは。
2014年9月10日水曜日
分かっちゃいるけど・・・
ラベル: 世相
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