若い人が「ヤバい」という日本語を乱発するのが好きじゃない。とか言いながら、先日訪ねた料理屋は「ヤバい」としか言えない店だった。
良い意味での「ヤバい」である。銀座のオネエサンに教わった店なのだが、初めて連れて行かれた日の3日後には、一人でふらっと再訪したほどだ。この写真はその名もカラスミビーフンだ。ヤバい。
銀座8丁目の雑居ビルの地下にひっそり構える「そうな」という店。パッと見はカウンターだけだからバーのような風情。バーとしても使えそうだが、料理がまさに百花繚乱で、何を食べてもウマかった。
和洋中なんでもござれみたいなメニューが特徴だろう。それぞれが水準以上の味で、中途半端な食べ物を出す創作料理店とは一線を画している。
カツオのたたきややクジラベーコン、子持ち昆布といったオーソドックスな一品も美味しかった。クジラベーコンは自家製だとか。食感が別モノだった。
こういう“普通”系がしっかり揃っているうえに「ウニとトリュフのグラタン」みたいな気の利いたメニューがいろいろあるのが楽しい。
このグラタン、まさに「ヤバい」味だった。濃厚なクリーミー攻撃に悶絶した。熱々を小さいスプーンで味わいながら「ヤバいねえ~」という言葉しか出てこない。
本当にウマいモノは四の五の言わずに「ヤバい」しか言いようがない。これこそが食べ物をめぐる真理だろう。
似たようなココット系の料理で大興奮したのは「ズワイガニのカニ味噌焼き」だ。これまた熱々を小さいスプーンでほじくりながら悶絶した。
店主の仕事が早いのも特徴的だ。アラカルトでアレコレ注文しても、こちらが退屈しないテンポで料理が出てくる。ダラ飲みだろうとサクっと食べるパターンでも楽しめそうだ。
お次は揚げ物。メンチカツとカニコロッケである。別々の日に食べたのだが、この二つを両方並べてハイボールや梅干しサワーを飲んでいれば、ただただ笑顔でいられる自信がある。
メンチカツはジューシーで肉の旨味が強く、タマネギの甘さに頼ったヤツとは別次元の完成度だった。
カニコロッケはクリーミーで上品なのに濃厚だった。意味不明な表現だ・・・。簡単に言うならば、やはりヤバい味だった。
これをムホムホ食べている時なら、たとえ娘が突然結婚すると言い出しても笑って許しちゃいそうなぐらい美味しかった。
こちらは上州牛のカツ煮。贅沢な一品だ。カツと卵を一緒に煮ないのがこの店のこだわりらしい。卵の火加減が牛カツの味付けが絶妙で、これまたヤバい味だった。
ボキャブラリーの足りなさを「ヤバい」の一言でごまかしてしまったが、本当にヤバいと感じたのだから仕方がない。
今後、ちょこちょこ使わせてもらいそうだ。
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