2020年1月8日水曜日

サッポロ一番

年末年始はウマいものをたくさん食べたが、一番ウマかったのは「サッポロ一番」かもしれない。だいぶ久しぶりに食べたのだが、改めて大ファンになった。



インスタントの袋麺が全盛期だった昭和の頃、私が好きだったのは出前一丁でも中華三昧でもチャルメラでもなくサッポロ一番だった。

いわば「ふるさとの味」である。あまりに身近だったし、日常そのもの?だったから価値に気付くことはなかったが、ラーメン百花繚乱時代の今になって、ブレない凄みに尊い価値があることを痛感する。

みそ、塩、しょうゆ。すべて好きだ。今は旨辛や豚骨、塩とんこつといったシリーズもあるらしいが、私が子供時代には無かったからそっちは無視。あくまで基本の3味しか知らない。

何より素晴らしいのが「そのままで充分ウマい」という一点だ。すなわちトッピング無しでも満足できる。究極の完成形である。

家で作るラーメンといえば、チルドタイプの生麺を使った商品が世の中に数多く出回っている。即席麺というジャンルではそんな“麺々”がヒエラルキーの一番上に位置している。

私も札幌や喜多方の名店の名を冠したチルド麺をよく買うのだが、ああいうラーメンは「そのままではダメ」である。ネギやチャーシュー、煮卵などをトッピングしないと美味しくない。

美味しくないというか、トッピング無しでは食えたものではない。未完成状態と断言してもいい。



対してサッポロ一番は何も加えずに満足できる。これは私だけの偏った意見ではないはずだ。出来上がった時の見た目が安っぽくみすぼらしい様子だとしても大丈夫である。単純明快に美味しい。

これは凄いことだと思う。

ご存じサッポロ一番塩ラーメンにはゴマの小袋が同封されている。あの香ばしさが決め手みたいだから、調子に乗って家にあったゴマを別途大量にふりかけてみた。



悪くはなかったが、あえて言えば必要の無いトッピングだった。やはりそのままで完成していることを思い知らされた。

考えてみれば、焼きそば業界のカリスマ「ペヤング」も同じだ。チルド麺の焼そばを作る際にはキャベツや肉などを足さなければウマくないが、ペヤングは余計なトッピングなど受付けない潔さが特徴である。

袋麺ではなく、カップ麺業界ではあらかじめ「かやく」というヘンテコな名称のトッピング材が用意され、それが味のバランスを整えている。カップヌードルにしてもアノ謎肉がポイントである。

サッポロ一番にはそういう助っ人はいない。でも美味しい。クドいようだが、これって凄いことだと思う。

ついでに言えば、サッポロ一番は鍋を火にかけて調理しないと作れないという致命的な弱点がある。洗い物だって出ちゃうわけだ。

にもかかわらず、カップ麺全盛の世の中になっても絶滅せずに人気を維持している。あまたのカップ麺ですら消滅していく厳しい世界にあって、袋麺なのにサッポロ一番はどこでも売っている。

一応、サッポロ一番のラインナップにはカップ麺も用意されているが、根っからのサッポロ一番支持派にとってはあれは邪道だ。あくまで袋麺こそが真骨頂である。

このブログでは、いままでさんざんペヤングを絶賛する話を書いてきたが、サッポロ一番を取り上げてこなかった。

失態である。大いなる見落としだ。

ペヤングは不幸な事件を乗り越えたあたりから、どんどんアバンギャルドな路線を突っ走っている。信者である私もついつい追いかけてしまう。




対するサッポロ一番はどこか悠然と構えている印象がある。そこがまたニクい。我が道を行くという凜とした姿勢を感じる。もはや神々しい気配すら漂う。

正直に言えば、私だってサッポロ一番にメンマやザーサイ、はたまた生卵を落として食べることもある。

でもやっぱり何も入れない状態で一気に2袋をたいらげるのが一番好きな食べ方である。

だからいつも購入する「5袋入りパック」だと余りが出ちゃう。2セット買わないと割り切れないのが困りものである。

サッポロ一番が世に出たのは1966年の1月だとか。ほぼ私と同じ歳である。タメと呼んでもいい。

生涯にわたる付き合いになりそうである。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

富豪記者殿
ほぼ同世代の私も同意見です!
マルちゃん製麺などは技術的には本当に素晴らしいと思いますが、やっぱりサッポロ一番の方が美味しく感じてしまいます。
ペヤングもホント美味しいのですが日清や明星の袋めん焼きそばも是非お試しください。
ちなみに、私の友人にサッポロ一番塩ラーメンを乾麺のまま、スープの粉をかけてスナック菓子のようにポリポリ食べる強者もいます。


富豪記者 さんのコメント...

コメント有り難うございます!

茹でずにポリポリ食べるのは子供の頃よくやってました。背徳の味がします!
袋麺焼きそばは、昔、ジャンボという商品が大好きでよく食べていました。実は今も袋麺焼きそばはウチにストックしてあります(笑)。袋麺友の会ですね!