2021年11月17日水曜日

博多の夜


先週末、福岡に行ってきた。今回も娘との二人旅である。目的はとくに無い。ウマいものを食べるぐらいである。

 

福岡は15年ぶりぐらいだろうか、ぐい飲みや徳利を調達しに唐津に出かけた際に立ち寄ったぐらいで福岡自体を目的に出かけたのは若い頃の出張ぐらいだ。

 

娘にとって福岡、博多といえば「もつ鍋」をイメージするらしい。私はオジサマだから「水炊き」を連想する。今回は父親の威厳が勝って水炊きのウマい店に行ってきた。

 


 

ミシュランにも載ったという「橙」という専門店に向かう。水炊きと唐揚げしかメニューにない潔さに期待は高まる。

 

私にとって水炊きといえば、新宿にある「玄海」がまず頭に浮かぶ。引っ越して新宿が遠くなったのでご無沙汰しているが「野菜を入れずに鶏肉だけ」という点が最高だ。

 

「橙」の水炊きも「鶏肉だけ」の状態で始まる。鍋奉行はお店の人が引き受けてくれるので安心。まずはスープだけを飲んでみる。

 


 

ややパンチに欠けるかと思ったがジンワリとウマい。後から知ったのだが、ここの店はスープを三段階で楽しませてくれる。

 

最初の一杯に続いては、キャベツ中心の野菜を加えてその旨味が加わったスープを第二弾として飲ませてくれる。

 

その後、やたらとウマいつくねを鍋に投入し、その旨味が加わったスープを第三弾として飲む段取りだ。

 




 徐々に味が変わっていくスープを味わうのは至極の時間だった。この段取りを守るために店員さんが鍋奉行を担当してくれるわけだ。

 

スープはさておき鶏肉のウマさが際立っていた。味の濃さ、食感ともに実に高レベルの肉でそれこそ毎日でも食べたくなるような味だった。

 



 

シメの雑炊も悶絶するウマさだった。もつ鍋派の娘も感嘆しっぱなしだった。私もうなり続けた。旅先の高揚感を抜きに冷静に思い返しても高水準の味だったのは間違いない。

 

さて、福岡といえばトンコツラーメンも忘れてはならない。今回は2軒の人気店を訪ねてみた。

 

抜群に美味しかったのが「二男坊」という店。トンコツ特有の臭みはゼロ。味はしっかりしながらまろやか。強すぎず弱すぎず万人ウケする絶妙な加減だと思った。

 


 

もう一軒は「一幸舎」。泡立つとろみのあるスープが特徴の店らしい。ここも美味しかったが「二男坊」の感動を先に味わってしまったから「まあまあ」ぐらいの印象になってしまった。

 

ちょっと塩気が強すぎる感じがしたが、こればかりは個人の好みである。小ぶりの餃子もウマかったし、チャーマヨ丼というジャンクな一品も良かった。チャーシューのマヨネーズあえ御飯である。

 



 

泊まったホテルは駅からすぐの都ホテル博多。最近出来たそうで屋上のスパエリアの評判が良かったので2泊してみた。

 

屋上露天のスパエリアは気持ちの良い温水プールとジャグジーが用意され、男女それぞれの内湯大浴場からつながっている。

 

寒空の下で温かい温水に浸かってホゲホゲするのは最高だった。ジャグジーは熱いぐらいで寒さをすぐに忘れるほど。

 

ムーディーな雰囲気で巨大な博多駅のすぐそばとは思えないリゾート感を楽しめた。

 

子供は入れないようで大人の空間である。客層はカップルや女子グループばかり。親子連れは我々だけである。ご愛敬だ。

 



 

福岡市街だけは面白くないので太宰府まで足を伸ばした。やたらと人出の多い天満宮をお参りして参道を冷やかしながらぶらぶらする。

 

近くにある光明禅寺の庭園が美しいということでそちらにも足を伸ばす。うって変わって誰もいないお寺で秋の庭の静かな風情をしばし楽しむ。

 

こういう場所に来ると「旅に来たな~」と感じられるから嬉しい。草木の枯れ果てた真冬の頃や夏の時期に蝉時雨を感じながら眺めたらまた違った風情を感じるのだろう。

 



 長くなってしまったが、最後は福岡最古の喫茶店「ブラジレイロ」に行った件。洋食が美味しい喫茶店とのことで立ち寄ってみた。

 

メンチカツが絶品という噂がきっかけで訪ねてみたのだが、あいにく品切れで仕方なくオムライスとドライカレーを注文。

 

どちらも昭和感ぶりぶりの料理である。「正しい喫茶店の食事」をワンランクアップさせたような幸せな味わいにちょっと感動した。

 



オムライスは見ての通りデミ系ソースの海に浮かぶシャれた佇まい。ドライカレーは古き良きニッポンのドライカレーそのもので、ご飯と混ぜ合わせてガツガツ食べるとタイムスリップしたかのような気分になった。

 

なんだか食べ物の話ばかりになってしまったが、今回の旅もオチは「飛行機が行ってしまった事件」である。

 

わずか2ヶ月前に札幌を旅した際も帰りの便を乗り過ごした。空港でダラダラ遊んでいたせいである。

 

http://fugoh-kisya.blogspot.com/2021/09/blog-post_10.html

 

それから間もないのに今回もノロノロと保安検査場に行ったら「もう締め切りだぞ」との冷たい言葉を浴びた。ANAの係員に何とか掛け合ったがダメ。

 

運良く20分後ぐらいのスターフライヤーという飛行機に振り替えてくれるとのことでとくに被害?もなく機内に乗り込む。

 


たまたまその便だけかもしれないが、エコノミーシートはANA便より足元の空間が弘かったのでゆったりと過ごせた。

 

2回も続けて飛行機を乗り過ごすあたりが私のシャバダバなところである。旅慣れているとウソぶいてはいるが、単に図々しくなっているだけだと思う。

 

 

 

 

 

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