中高年になってからゲロとはあまり縁がなくなった。昨年は12月の半ばに一度だけ吐いた。せっかくノーゲロで1年を終えるつもりだったのにワンゲロだ。痛恨の極みである。
今日はこんなテーマで書き進みます。ご注意ください。
若い頃は12月、1月あたりはゲロッピーな日々だった。加減も知らず格好つけて飲みまくったから頻繁にゲロゲロしていた。
若さってつくづく凄いと思う。今の歳であんなペースでゲロゲロしていたら必ずどこかがぶっ壊れるはずだ。
私の場合、若い頃は一度ゲロ太郎になると朝まで何度もトイレに駆け込んで黄色い胃液しか出ないのに吐き続けるパターンだった。いま思えば勇者!である。
今のようにすっかり吐かなくなると吐きまくった若い日々が妙に懐かしく感じる。あのツラさ、あのミジメさ、あのどうしようもない切なさと後悔に包まれる時間こそが若さの証だったようにすら思える。
世の中にある言葉の中で何とも的確で完成度が高いのが「ゲロ」だと思う。たった2文字ですべてを言い表している。
ハナクソやウンコは3文字、4文字を必要とするのにゲロは2文字だけであの情景や苦い味覚すら瞬時に脳裏に浮かぶ。
ヒマだからゲロの語源を調べてみた。ネットにあった「日本語俗語辞典」を引用してみる。
[1] ゲロとは胃の中にある飲食物を吐き戻すことで「ゲロする(過去形:ゲロった)」「ゲロる」ともいう。また、そうした吐き出された吐瀉物を指しても使われる。この意味では昭和初期から使用されており、世代を超えて最も頻度の高い意味である。
[2] ゲロとは自白・自供という意味で、もともと警察の隠語であったが不良を中心に一般にも使用されるようになる。自供・自白が「隠していることを吐く(話す)」ということから、[1]の意味とかけて出来た意味である。
[3] ゲロとは「とても」「すごく」といった後に続く内容を強調する言葉として、1990年代に入った辺りから若者に使用されている。「ゲロかわいい」「ゲロブス」「ゲロうま」「ゲロまず」といった形で使われ、後に続く内容は特に限定されていない。
大真面目に解説されているとゲロも格調高く思えてくるから不思議だ。(3)の「ゲロブス」ってよく考えたら物凄い言葉だと思う。実にマトを得た言葉である。
ちなみに酒が飲めないことを意味する「下戸・ゲコ」から派生した言葉だと聞いたこともあるが正確には知らない。
ヤフー知恵袋の「教養と学問、サイエンス」というカテゴリーに15年以上前に載っていたやり取りも非常に分かりやすくて参考になる。
ゲロの思い出は数々ある。酒の力を借りて女性を口説こうとしたのに返り討ちにあってゲロッピーになったこともあれば、水中で必死に撮影に励んでいた時に頭上に停泊中のボートから舞い散ってきた海中を漂うゲロゲーロにたじろいだこともある。
新車に乗せた友人に得意になってクルマ自慢をしていたら助手席で思いっきりゲロを吐きまくられたこともある。思えばゲロとともに人生を歩んできたみたいだ。
5年ほど前にもこのテーマを熱く書き殴ったこともある。
ゲロッピー
現在はほぼゲロゼロ生活だが、その理由は加齢だけではない。その昔、一世を風靡した歌手の江利チエミさんがゲロを喉に詰まらせて亡くなったニュースに驚いたことが影響している。
アノ健さんとの離婚後、一人で暮らしていた江利チエミさんが45才だった頃の話である。まだ私が若かった頃の話だが、自分が中年になるにつれゲロの怖さを痛感して気をつけるようになった。
私にとってのゲロメモリーでもっとも印象に残っているのがゲロゲロドライブである。ハタチになるかならないかの若造時代の話である。
その日、相変わらず飲み過ぎたせいで夜遅くからゲロッピーモードになっていたのだが、間が悪いことに入院していた祖母が危篤だという連絡が病院から入った。
他の家族はさっさと病院に向かってしまった。トイレでゲロッピーだった私は置いてきぼり。かなり遅れて出発した。もちろんクルマである。時効だからご容赦。
ちゃんと洗面器を持ち込んでの運転である。気持ち悪い状態はちっとも治まっていない。股の間に洗面器をはさんで吐き気に備える。
夜中だから信号がやたらとつながってちっとも停まらない。吐き気は頻繁にやってくる。急いでいたので道端に停めることもせず吐きながら運転。視線はしっかり前方を見ていたが口からはゲロゲーロである。
危篤の祖母も大変だったろうが、こっちも死にそうだった。結局、その日は祖母は無事で何とかゲロと涙の二重奏になることは避けられた。
若さって無謀だと思う。今は逆立ちしたってあんな芸当は無理だ。というか、そんなバカなことをしようとは思わない。
残りの人生、あと何回ぐらいゲロッピーになるのだろうか。ここから先は酒だけではなく病気や治療、投薬関係の副反応でのゲロゲーロという事態もあるのかもしれない。
酔っ払ってもいないのにゲロッピーになるのはツラそうだ。そんな事態にならないよう神に祈ることにしよう。
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