銀座でディナーという言葉にはどこか特別感がある。とはいえ、職場が近い私にとっては日常の晩酌の場が銀座になることも多い。いちいちハレの日で使うような店には行けない。
ミシュランがどうだ、食べログがどうだといった特別な食事ではなく普通にちょっとウマいものを食べたい時にも銀座は便利だ。ジャンルを問わず何でも揃っている。女性連れで軽く夕飯を食べる際もいちいち高級レストランには行ってられないので、晩酌的に楽しめる店を選びがちだ。
晩酌オジサマとしてはジャンルに関係なくウマいものをちょこちょこ食べられる店が一番有難い。普通の居酒屋では退屈だが高級料理屋も面倒といったワガママに応えてくれる飲食店の多さも銀座の特徴だろう。
高級居酒屋という表現だとピンと来ない。“準料理屋”みたいなイメージだろうか。このブログでも何度か書いた「惣菜」などは和洋中にこだわらない小皿料理が楽しい。
上の画像は贅沢玉子なるネーミングの一品。簡潔に言えば茹で卵である。そこにウットリするようなトリュフソースをまとわせている。下はビーフンにカラスミをブリブリ混ぜた一品。卓越した技術が光る料理よりもこういうシンプルさが嬉しい時もある。
この店のコンセプトは「日常の料理を非日常に」である。核心を突いている。晩酌オジサマとしては日常の“ちょいプラスアルファ”ぐらいを楽しめる店が有難い。
先日、何年かぶりに訪ねた「まかない・きいち」もそんな店。奇をてらったメニューはないが、刺身、焼き物、揚げ物などすべてが高水準。クジラベーコンだって高級寿司屋が常連用に隠し持っているような上等なレベルのものが出てくる。
メニューに値段が書いていないのも銀座っぽい。ちょっとビビるのが正直なところだが、普通の居酒屋を選ばずにこの店に来たからには多少の出費は仕方ない。
シマアジのゴマ醤油和え、トウモロコシの天ぷら、茹でタンだ。どれも丁寧に仕上げられていて実に美味しい。画像は忘れたが、この店の名物でもあるメンチカツも旨味と甘味のバランスが絶妙で何個でも食べたくなる。
もともとこちらは「ちばき屋」という人気ラーメン店の店主が出した和食店なので、アレコレと食べた後に外せないのがラーメンである。醤油ラーメン、塩ラーメンも悪くないが「鯛そば」が絶品だ。
それまで食べてきた味の流れを壊さずに滋味深いスープに包まれた麺をズルズルと楽しめるのが最高だ。いつも晩酌の後にペヤングやマックを食べてしまい味の余韻を台無しにする私の悪いクセもこの店のシメを味わえば大丈夫である。
ハーフサイズで注文できるのも有難い。画像はハーフだ。鯛の旨味もしっかり感じられて“シメ業界におけるニッポン代表”みたいな印象だ。数年前には確か4分の1サイズも可能だったようだが現在はよく分からない。
晩酌タイムのシメは案外重要である。上にも書いたように私は晩酌の後にフィレオフィッシュやビッグマックを無性に食べたくなる変態男だから、なるべくなら晩酌の店でしっかりとしたものを食べるべきである。
ツマミを多めに食べちゃって炭水化物ナシの時間を過ごしがちなお寿司屋さんや焼鳥屋さんに行く時が要注意である。
最近でこそ寿司屋では頑張って握りを8~10貫ぐらいは食べるようになったが、数年前まではツマミや珍味ばかりで握りは3~4貫で終わってしまうこともあった。そうなると無事に自宅に帰り着いてもペヤングにお湯を注いでしまうことが多かった。いま必死に軌道修正中である。
焼鳥屋さんの場合もしっかり食べたつもりでもしょせんは小さい肉の串刺しばかりだ。後になって何となく満足感が足りない気持ちになりがちだ。
銀座にある「串銀座」にも時々足を運ぶのだが、最近は必ず「温玉そぼろ丼」をシメに頼むことにしている。温玉が驚天動地にウマいから幸せな気分になれる。
この店が使っている無敵のナンチャラ卵は色合い、味の濃さともに抜群だ。かつてはここの温玉だけを4回もオカワリしてそれを肴にずっと飲んでいたこともある。
そんな謎にウマい温玉がそぼろ丼にトッピングされているわけだからマズいはずがない。極上の親子丼にも惹かれるが温玉の魅力のせいでこればかり注文する。いつかこのそぼろ丼に温玉を3つほど乗せたバージョンを頼みたいのだが勇気がなくて言い出せずにいる。
いつか必ずトライしたいと思っている。
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