来年開催されるWBCの中継はネットフリックスが独占するそうだ。これも時代の流れだろうか。国民総注目ともいえる野球の国際大会を日本のテレビ局が中継できないわけだから一大事と言っても過言ではない。
普通の人にとってはさほど問題はないが、私の母を例にとるとネット視聴自体が出来ないから中継は見られない。お年寄りにとってみれば大事件だ。
ネットフリックスなど新興勢力の勢いはドラマの分野でも顕著だ。「全裸監督」しかり「地面師」しかり、相撲の世界を描いた「サンクチュアリ」も独特な世界観で作品がつくられていて画期的だった。
地上波のドラマの中にはどうにも台本が稚拙だと感じるものもあるから配信系ドラマとの“格差”は今後も広まっていくのだろう。
先日、ネットフリックスが最近流し始めた全10話のドラマを見た。私のような年代をターゲットにした作品ではないが、面白くて2日間で全10話を見てしまった。「グラスハート」というドラマだ。
主演は佐藤健だ。以前、彼が主演だったネットフリックス作品の「ファーストラブ・初恋」に感動してしまったオジサマとしては、今回も彼がメインというだけで期待しながら鑑賞。
端的に言うなら昭和の「大映ドラマ」的な作品だった。松村雄基や伊藤かずえはいつ出てくるのかと思ったぐらい全体的にあのノリ?だった。ベタというか、大げさというか、青臭いというか、直球一本やり?の娯楽作品である。
天才ミュージシャンをめぐるバンド活動の話なのだが、ライバル関係、敵対する悪者、恋模様のどの局面もベタベタに分かりやすい。悪役なんてどこからどう見ても悪らつだし、天才ミュージシャンの天才ぶりもスーパーマンみたいだった。
佐藤健は非常に格好良いのだが、見方を変えれば非常に気持ち悪い。そこがまたこのドラマのキモになっている。ボーイズラブ的な要素もあって観る人によってはいろんな楽しみ方ができる作品だ。
バンドの腕っこきギタリスト役の町田啓太という俳優も良かった。ロン毛がとてもカッチョよく、同じくバンドメンバー役の志尊淳よりも二枚目ぶりが際立っていた。菅田将暉の突き抜けた感じも良かった。
とにかくツッコミどころ満載の作品だったから細かいあらすじを書きたくてしょうがないのだが、これから観る人のためにそこは割愛。間違いなく言えることは「大映ドラマ」的な仕上がりに対して、いちいちツッコミを入れながら鑑賞すると楽しいということだ。
そう書くとディスっているように思われそうだが逆である。ツッコミまくれる面白さこそがこのドラマのウリなんだと思う。あえてそういう作りに徹したのではと邪推してしまう。
それにしても俳優って凄いと改めて感じる。ライブシーンでの演技はどうみても卓越したミュージシャンにしか見えない。オヤジバンドのボーカリストである私からすると、あそこまで徹底してカッチョよくキメちゃう姿に尊敬すら覚えた。
ノリノリで演奏したりシャウトしたり…。そういうシーンを本物のライブでもないのにやり切っちゃう憑依体質ぶりが凄い。私自身、10年以上バンド活動を続けているが、いつまで経ってもステージ上では恥ずかしくてノリきれない。このドラマを見習って今年のライブではハジけてみようと決意した次第である。
深夜に一人、このドラマを観ながら「おいおい!」とか「そりゃあ無いわ!」とか「なんじゃソレ!」などと声に出しながら過ごした時間は意外に有意義?だった。時には単純明快な娯楽作品の世界に没頭するのも悪くない。
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