国会議員の資産公開がマスコミで話題になっている。率直に言って実にくだらない制度だ。
不動産は、時価とはほど遠い固定資産税評価額をベースにしており、預貯金についても定期預金のみが公開の対象。普通預金や家族名義で何十億円持っていようが、公開する必要はない。おかげで「預貯金ゼロ」という国会議員がゴロゴロいるふざけた内容になっている。
このお粗末な制度そのものの問題以上に気になるのが、金持ちに見られることを極端に避けようとする議員達の風潮だ。
そもそも資産公開制度は、地位を利用した不正な蓄財を監視する趣旨で設けられている。いつのまにか、これが「誰が金持ちか」という矮小化された話にすり替わり、皆せっせと目立たないように苦心している。おかしな話だ。
極端に言えば、貯金もないような貧乏な人間に政治などしてもらいたくない。もちろん、貧乏な階層の代表という役割は必要だが、そんな人ばかりじゃ困りものだ。皆が皆、「金儲けなんてしてませんよ」的な発想だったら気持ちが悪い。
「金持ちイコール悪」という馬鹿げたイメージは、どうにも始末が悪い。「自分はこれだけ成功して金持ちになりました。そのノウハウを税金の使い道にも応用したい」と言ってのけるような“お大尽”に出てきて欲しいもの。
昨夏の参院選当選組で公開資産額トップになった舛添厚労相は、感想を聞かれ「普通に働いてきた結果だからとくに感想はない」と淡々と語った。質問した記者からすれば、恐縮したり、バツが悪そうに返答する姿を期待していたはずだろうが、アテが外れた様子。個人的に舛添さんは、あまり好きなタイプではないが、自分が稼いできたことに変に卑屈にならない姿は潔い。逆にそんな当たり前のことで評価したくなる世相が問題だ。
政治課題の中でも経済分野は、ひと言で言ってお金の扱い方である。ビジネスで成功したお金持ちに活躍の場は与えるべきだし、またそれを声高にアピールするような富豪国会議員が登場してもらいたい。
2008年1月9日水曜日
大臣とお大尽
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