2009年12月25日金曜日

クエ鍋

冬になるとやっぱり鍋だ。ひとくちに鍋と言っても様々。人それぞれにお気に入りの鍋や鍋へのこだわりがある。

私の場合、実は長い間「鍋嫌い」だった。
すき焼きにしろ、フグ鍋にしろ、なぜか野菜がエラソーに陣取っている情景が許せなかったのその理由だ。

単なる偏見だが、野菜が好きな男性はどうにも信用ならない。「春菊うまそう」とか「白菜サイコー」とか言う男は私の友人にはいない。

野菜を食べずに済ますために毎月毎月「青汁」を通販で買っている私だ。一生懸命に緑黄色野菜なんかを食べてしまうと青汁に失礼な気がする。

ところで、鍋の主役が高価になればなるほど野菜の量ばかり目立つ。この現実は鍋料理の由々しき事態だと思う。

そうは言っても、年を取ったのとダイエット生活の習慣で、この冬は私の身体にちょっとした異変が起きている。イヤイヤ喰ってる顔をしながら、内心では鍋の野菜をウマいと感じてしまう・・・。男として少し情けない。

あっさり系よりしっかり系の味の鍋が好きだが、もつ鍋とかキムチ鍋とかその手のゲテモノ方面はあまり興味がない。トマトスープの鍋とかカレー味の鍋だとか最近は変なのが増えているらしいが、そういうインチキみたいな鍋もイヤだ。

20年近く前に錦糸町だったか亀有だったか、その辺のディープゾーンでご馳走になったちゃんこが最高だったのだが、あいにく店の名前を忘れてしまった。こってり系のスープで最後に沖縄そばを入れてシメにしていた。

最近は鍋へのこだわりもさほど無く、冬が来れば、フグだのアンコウだのと行き当たりばったりで鍋をつついている。水炊きも大好き、カキ鍋もウマい。

時折無性に食べたくなるのが「クエ鍋」だ。
本場の和歌山や九州で味わったことがないので、実際のところ私が食べているクエがどんなレベルなのかは知らない。でも、都内でわざわざ「クエ鍋」を用意してある以上、それなりのものなんだと思う。

先日、銀座にある土佐料理「ねぼけ」でクエ一式をムシャムシャ食べた。刺身も美味しかったが、やはり鍋で食すと満足感が大きい。単なる魚の鍋というイメージとは違うパワーがある。

一見、なんでもない白身魚だが、弾力、舌触り、旨味それぞれがクエ独特のもの。

「肉食の良さも知ってしまった魚食国家ニッポン」という我が国の客観的現状に照らすと、クエの評価はもっともっと高まっていい(なんか大げさだ)。

そんな味だ(どんな味だ?)。

“肉っぽい魚”とでも表現するのが適当だろう。

ちなみにこの「ねぼけ」。新宿や赤坂にもあるチェーン店だが、銀座店の使い勝手もなかなか。大げさな懐石料理を食べる雰囲気でもなく、かといって居酒屋的ノリも困るという場面にバッチリ。

カツオのタタキは一年中美味しいし、クジラのさえずりとかの珍味類も常備。ありがちな郷土料理店と違って割合いつも繁盛しているからさすがだ。

この日、またハイボールをグビグビしながらクエやクジラなんかを食べた。ありがたいことに「山崎」のハーフサイズがメニューにあったので、炭酸と氷をもらって一丁上がり。

野菜までウマかった印象があるから、相当酔っぱらったんだろう。

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