カウンターで職人さんと対峙するお寿司屋さんの醍醐味って何だろう。答えは一つ。「変わったものが食べられる」。これに尽きるのではないか。
変わったものと言っても、あくまでお寿司屋さんワールドの範疇でこちらが満足できれば良い。「創作」という怪しい言葉で、摩訶不思議な野菜料理とかを出されても困る。
で、詰まるところ「珍味」に出会えれば至上の喜びである。
カウンターでチビチビとアルコール摂取に励んでいるわけだから、塩辛とかカラスミとかの珍味サマが小皿にチョコンと載せられて登場すれば最高だ。
このブログでもそうだが、Facebookでも、愛すべき珍味との遭遇をちょくちょく載せている。有難いことに拙文をマメに読んでくれる読者の中には、「珍味道」に馳せ参じたいと申し出る物好きもいて、ひょんなことから「珍味会」を開催することになった。
その日、参加したのは中学高校の後輩2名。3学年下の男と2学年下の男だ。私とはそれぞれが別なルートで交流があったのだが、彼ら同士が中学高校の部活で一緒だったとかで、はじめからとっとと馴染んで飲みはじめた。
2コ下、3コ下などというと、随分年下の印象があったが、それぞれが随分年を重ねたため、後輩達も40過ぎのバリバリの中年である。
ただ、ヤツらが独身だという点には少しムカついた。離婚者ならともかく、未婚者である。未婚者なのに珍味を追求しようなどという思考が既に変態だろう。意味不明か。
さてさて、会場に選んだのは銀座の珍味屋、いや銀座の寿司屋「九谷」。何度かこのブログでも書いてきたが、北海道直送のネタをウリにする一方で、やはり変態気味の店主の趣味?で、数々の珍味が用意されている有難い店だ。
最初の画像はイサキのキモとタマゴと皮だ。
この時期、プリプリと甘味も強いイサキである。当然、内臓系だってウマいはずだ。
白身魚のキモは一般的な飲食店では安直に捨てられることが多いが、もったいない話だと思う。キモポン酢は当然ウマイし、塩焼き、煮つけなんかにしてもトロリとした風味にウッシシな気分になれる。
2枚目の画像は、ブドウ海老のミソとタマゴとなぜかキャビアだ。この店は、特大ボタンエビを常備しているだけでなく、あまり見かけない大きめのブドウエビも用意している。
画像に写っているのは、エビの頭の中のチューチュー吸い出して食べる部分である。どうしたって日本酒の友である。この日もクイクイ冷酒が進んだ。
一見、何の変哲もない貝の画像だが、これがウマかった。レア気味に火を入れたハマグリとアサリの醤油漬けだ。奥に写っている猪口に入った貝の出汁も「滋味滋味~」って感じでウットリした。
ただでさえ、冷酒をカピカピ飲んでいるところに、大将が怪しい液体を出してきた。また何かの出汁を飲ませてくれるのかと思ったら、ヒレ酒の冷酒だった。
これだけの色だから相当な量のヒレを使って作られたものだ。キリッと冷やして飲む経験は初めてだが、これはこれでヤバい味だった。
真冬にアッチッチ状態で「ふげー」とか「ウィイー」とかいながら飲むヒレ酒は最高だが、クールヒレ酒も夏場の「珍酒」として大いにアリだと思った。
客として訪れたフグ専門店の親方にも誉められたと語る嬉しそうな大将の顔が、このお店の面白さを象徴している。
変なモノと言ったら失礼だが、ここの大将は、創意工夫を重ねてちょっとした一品を作ることを単純に楽しんでいる。店主が楽しいのだから、珍味好きにとって楽しくないわけがない。
イバラガニの内子の登場だ。タマゴになる前のドロリとした状態のモノを塩漬けにした珍味界の隠れたスーパースターである。
黒紫色したタラバの内子は都内でも見かけるが、オレンジ色のイバラガニの内子はなかなか遭遇しない。
こいつを舐め舐めすることが私にとっては、この先の人生を前向きに生きていく道標のようなものである。
6 件のコメント:
先日はご馳走様でした!
画像で見ると改めてあの日の幸福感を思い出しますねぇ~~
メモってた訳でもないのにこれだけ頭の中に記憶が残ってるとは、さすが記者様ですね!
九谷の大将からまたお逢いしましょうとのハガキを頂きました。
次回も楽しみにしてます!!
次はウナギ会もいいねえ。
いいですねえ~!
メンツは別途ご指示頂きたく。
そのうち食えなくなるみたいだからね。
メンツも検討しましょう。
ひええ、流れ的にうなぎ会のメンツに選ばれなさそうな(T_T)。
先日は中座してしまいご無礼申し上げましたが、尊師さま、お許し下さいませ〜。
もう1人の後輩より。
もう1人の後輩サマ。
ウナギ会にも声かけるようにするよ!覚えてたら。
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