富豪になりたいと宣言しているものの、ちっとも富豪になれない日々である。アリバイのように銀座で寿司を食っただの高級ホテルのバーで飲んだだのと書いているが、その実態は大衆酒場でゲップを連発しながらクダを巻いている。
ホッピーにモツ焼きみたいなノリの店でホゲホゲ酔っ払っていると何だか身体中のアクが落ちていくような気がする。
大衆居酒屋には、肩の力が自然に抜けていく効能がある。でも、あまり頻繁に通い過ぎると肩の力が抜けすぎてフニャフニャになってしまう感じがする。主戦場にしてはいけないのかもしれない。
シュっとしたダンディー男を目指す私にとっては、まさに両刃の剣?である。
今日は「富豪」とは程遠い大衆居酒屋について考察?してみたい。
ここで言う大衆居酒屋とは、繁華街に数多く展開する小洒落たメニューを揃える居酒屋ではない。個人経営のディープな店である。若い女子のグループが見向きもしないような店だ。吉田類が行くような店のことである。
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BGMは昭和歌謡。はたまた、まるで無名の歌手が歌うこの先二度と聴く機会がなさそうな演歌である。
酎ハイ系はたいてい濃い目で、3杯も飲めばズドンと酔ってくる。モツ煮がウマいのだが、きっとゴキブリなんかもたまに煮込んじゃってるような雰囲気が漂う。
タタミイワシや変な煮物が代表メニューなのに、やたらとしょっぱい小ぶりなグラタンなんかも作ってくれる。
揚げ物もウマいが、その後に必ず胸焼けするような疲れた油を使っていて、刺身の色は変な色。そんな感じである。
まあ、これはあくまでもイメージである。
実際にはそこそこウマいものを食わす店も多い。ウマいといっても、グルメ本に載るようなものではなく、ネット上で美食家と称する人々が取り上げることもない。
たとえばマカロニサラダである。たかが、とはいえ、されど。である。大衆居酒屋の華といえるのがマカロニサラダやポテサラである。
不思議とディープな居酒屋になればなるほど、マヨネーズ指数が高くなる。マヨ味全開だとウマい。B級グルメならぬC級グルメの雄と呼んでもいい。
高価な純米大吟醸なんかにはちっとも合わない。ホッピーやナンチャラサワーにこそ抜群の相性を見せる。正しきニッポンのオヤジ向けジャンクフードだ。
これは池袋の某店で食べたレバカツである。上品とはいえないメニューだが、オヤジ飲みの現場ではヒーローみたいなものだ。ソースをかけてグワシ!って感じでかじりつく。
高級料理店では揚げ物にソースをべちゃべちゃつけて食べることはない。そのアンチテーゼのような大衆居酒屋ではソースは七味と並ぶ定番調味料である。
アジフライ、イカフライ等々、ソースの出番である。食後のゲップが妙に臭くなるような腐りかけの挽き肉を使ったメンチカツなんかもソースをしっかりまとわせて食べると最高だ。
世の中、やたらと熟成肉が流行しているようだが、大衆居酒屋の肉は大昔から熟成ならぬ腐りかけである。時代を先取っている。
カツ煮である。カツ丼のご飯抜き、すなわち上だけ。これをツマミに飲むのは至福の時間だ。豚肉がハムのように薄いのは御愛敬である。
まあ、ハムカツというシュールなメニューだって大衆居酒屋では珍しくない。あれはあれで不思議な美味しさがある。
カツ煮には充分濃い味がついているのに、ここにチョロっとソースを垂らしちゃうのもオツなものである。考えただけでヨダレが出る。
ソースといえば串揚げである。関西でおなじみのソース二度漬け禁止を謳う気軽な串揚げ屋さんもいつのまにか東京でもポピュラーになってきた。
これまた炭酸系のジャンクアルコールとの相性が抜群である。アブラギッシュオヤジ達の栄養源である。
このところ、胸焼けがおさまっているので、時々、そんな串揚げ屋にも出かける。食べ終わったらすぐに胃薬を飲み、食後3時間は身体を起こしておき、寝る寸前にも胃酸を抑える薬を服用すれば大体問題なしである。
空腹状態で乗り込む串揚げ屋はパラダイスである。次から次に出てくるものすべてが揚げ物である。ワンダフォ~!と叫びたくなる。
肉はもちろん、キスや海老、野菜だったらタマネギの串が最高だ。ふっくらした秋鮭や牡蠣、マイタケなんかもこの季節ならではだ。
先日は紅ショウガの串揚げなる一品を食べて結構感激した。B級、C級(その区分自体よくわからないが・・・)グルメの世界では紅ショウガは花形スターである。
たこ焼き、お好み焼き、屋台の焼きそばなど、紅ショウガが無ければ成り立たない。そんな「紅い色したニクイいやつ」を串揚げにしてソースをびっちゃり。最高だった。
ちなみに、真っ当なお寿司屋さんに行っても前菜用のツナサラダをドカ盛りで軍艦巻きにしてもらう。そんなフシダラな私の行動パターンは大衆居酒屋でジャンクフードを頬張ってグダグダ酔っ払っている副作用だと思う。
こんな話を必死に書いてしまったから、今夜の止まり木も間違いなくシュールな大衆酒場になるはずだ。
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