2018年2月5日月曜日

看護婦さん 婦人警官


仕事で記事を書く際には、マスコミ業界独自のルールに縛られる。何気なく会話で使っている「キチガイ」、「めくら判」「片手落ち」あたりは禁句だ。

書き殴った原稿にマズい表現があれば、校正担当者にキチっと直される。直されるとホッとする反面、なんとなく窮屈な気がするのも本音だ。

「言い換え」にも気を使う。ドカタや浮浪者はそれぞれ建設作業員、ホームレスと表記するのがルールだ。

ポン引き、二号さん。それなりの年齢の人なら会話の際に普通に使う言葉だが、これも言い換えの対象になる。それぞれ、客引き、愛人。

町医者は開業医、百姓は農民、女中さんはお手伝いさん等々。子供の頃から普通に使ってきた言葉だし、会話なら今も使うことがあるが、その呼称を不快に感じる人がいるならば言い換えは必要だろう。

一応、もっともらしく書いてみたが、そうは言っても、個人的には違和感や不自然さを感じることもある。アル中、タコ部屋なんかも一応ダメな言葉に分類される。

他にも、共稼ぎは共働き、父兄会は父母会など、「なんだかな~」と言いたくなるものもある。

例をあげるとキリがない。

私が古いのかもしれないが、やっぱり白衣の天使は看護婦さんという言葉のイメージが強い。「看護師」は男性ならともかく、女性だとピンとこない。

数々の呼称から「婦」が消え始めたのは15年ぐらい前からだろうか。男女雇用機会均等法が契機だったはずだ。いまや看護婦はもちろん、助産婦さんも助産師さんと表記するのがルールだ。

婦人警官という呼称ももともと通称ではなく正式に法律に記されていたものだが、今では女性警察官に改められている。「婦警さん」は死語ということ。

「婦」とか「婦人」が何故ダメなのか、正直よく分からない。一種の言葉狩りのように思える時もある。

その昔は正式な用語だった「婦人参政権」も今では「女性参政権」に言い換えられている。ヘタをすると歴史上の用語まで改ざんされかねない。

まあ、そんな堅苦しいことを言ったところで仕方がない。これも時代の流れなんだろう。

看護婦が看護師に変わったように「〇〇婦」の「婦」が禁句扱いなら、いろいろとヘンテコなことも考えたくなる。

「売春婦」はどうなる?「売春師」なのか。なんだか凄いテクニシャンが手ぐすね引いて待ち構えている感じだ。

「娼婦」だってそうだ。「娼師」。これまた謎の秘術を使いこなす達人のような響きだ。

もっとあれこれとイヤミったらしいことを書きたかったが、炎上しちゃったら困るのでこの辺でやめておく。

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