職場が移転することになった。自社ビルの老朽化をきっかけに以前から会社の資産組み替えをあれこれ検討していたのだが、5月からは京橋が拠点になる。
銀座が近くなるのは困ったものである。
さらば池袋である。私が社会人生活を始めたのが平成になる頃だったから、一つの時代をずっと池袋で過ごしたことになる。
嫌いな街だが、それなりに馴染みはある。移転自体は嬉しいが、どことなく淋しいような感覚もある。
東口も西口もはたまたディープな北口だって、どっちに行けば何があるか把握しているぐらいだから、縁がなくなることが不思議な気分だ。
正直言って、名残惜しいのは西口の居酒屋「南国ファミリー」ぐらいである。他に馴染みの店があるわけでもない。
困ることといえば、血圧の薬を毎月もらいに行くクリニックや定期的に通っている歯医者が職場から遠くなってしまうことぐらいだ。
まあ、京橋界隈で代わりを見つければ済む話だが、ちょっとは面倒くさい。
あとは、個人的な郵便物や配送品をすべて今の池袋の職場を送付先として登録していたので全部変更しないとならない。
法律違反?だが、住民票だって職場の住所にしていたから転籍の手続きが必要だ。なんだかんだと面倒なことが待っている。
職場内の私のスペースの整理を少しづつ始めたが、やはり30年も同じ場所にいたせいで、後生大事に残して置いたものの多くがゴミである。
断捨離には良い機会だと痛感する。不要品の中に埋もれて働いているようでは、気も淀むはずだ。移転を機にスッキリするのは楽しみだ。
さてさて池袋である。定点観測のように眺めてきたこの30年で随分変わった。
もともとガサツな街だが、近年は物騒な感じが以前より強まってきた。脱法ドラッグ屋もいろいろあるらしく、警察の巡回も増えた。
外国人の割合も物凄く増えた。職場の隣のコンビニを例にとっても、日本人の店員は一度も見たことがない。オーナー自体もおそらくヨソの国の人だ。
道行く人の話す言葉もアジア系の言語ばかり。良し悪しウンヌン以前に、アッと言う間にまるで異質な世界に変化したわけだ。
その昔は、青江三奈のヒット曲「池袋の夜」を連想させるような“場末ムード歌謡”が似合う街だったが、今では外国人軍団の他は、コスプレが趣味のオタクみたいな人の聖地だし、青江三奈的世界はどこにもない。
昭和の頃は、酒場周辺にぶちまけられていたゲロが名物だったが、今ではゲロを見かけることもない。
怪しげな赤提灯や怪しげなスナックもほぼ絶滅し、チェーン店の居酒屋とファストフードの店とラーメン屋が隆盛を極めている。
ゲロを見かけなくなるのも当然だ。青江三奈やダサいムード歌謡が似合う場末感たっぷりの池袋が恋しいわけではないが、無くなってしまったものには少しばかり郷愁を覚える。
いやいや、そんなおセンチな感覚になること自体が、転進を阻止しようとする池袋の魔物?のしわざだろう。
池袋を振り返っているヒマがあったら、京橋界隈の渋い小料理屋などの開拓を始めないといけない。
池袋生活、残り一月余りである。
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