寝台特急北斗星を登別で降りたのが朝の9時半。朝っぱらから何をしようかと戸惑いながら駅から歩いてすぐの水族館で暇つぶし。お客さんはほとんどいない。じっくりと魚を観察。結構楽しむ。
その後、温泉街に移動。雪をかぶった地獄谷の冬景色を楽しんでから、すぐ横にある老舗大型旅館・第一滝本館へ。朝から受入れてくれる日帰り入浴が目的だ。
浴槽が30個以上ある巨大温泉テーマパーク的な大浴場でのんびり朝風呂。こんな時間に客はまばらで何とも贅沢な時間。すっかりふやける。
入浴後、ラーメンと餃子、生ビールで昼食。小原庄助並みの時間はあっと言う間に過ぎて、そろそろ午後2時。この日泊まる宿に向かう。
今回の旅、目的のひとつが昨年夏に新装したての老舗旅館「滝乃家」に泊まること。昨年、お隣の大型旅館「まはろば」に泊まった際、すぐ隣にたたずむ登別らしからぬ高級和風モダンの風情が気になり、訪問の機会をうかがっていた。
サイズも大きすぎず、個人旅行にはうってつけと睨んでいたが、一人旅でも受入れるサイズの部屋もあるらしく、勇んで予約してみた。
大箱団体向けワイワイガヤガヤ系の宿が幅をきかす登別にあって「滝乃家」は異色だろう。泊まってみた感想は、端的に言って文句なし。登別というより北海道全体でも高水準にランクされる気がする。
通された部屋は一番狭くて安い部屋。とはいえ、一人には充分ユッタリとした造り。ベッドも大きく、リクライニングチェアもあって、水回りも最新鋭機器で揃えられており快適。
確か全部で28部屋の規模。その多くに部屋付き露天風呂があるとか。そのせいで、滞在中は大浴場で他のお客さんと遭遇することがほとんど無かった。
大浴場は宿の規模に適したサイズ。巨大な浴槽がウリの登別の他の宿と比べると迫力はないが、清潔で快適。すべての浴槽が当然のように源泉かけ流し。これが濃くて素晴らしい。上の画像は内風呂。ガラス越しの雪景色がいい感じ。
露天風呂は内風呂から少し下がった位置にある。階段を少し下りていくのだが、階段の上部から温泉が流れていて、足元がぬくぬくと気持ちよい。
小さな滝の流れる渓谷のような立地に露天風呂はある。濃い硫黄泉の濁り湯にどっぷり浸かって雪景色を堪能する。冷たい風のおかげでのぼせない。湯温も陣取る場所によって熱めだったりぬるめだったりと長湯にはもってこい。
硫黄泉に満たされた浴槽の向こう側は池。こういう風流なお湯に浸かって冷たい風を深呼吸すると心の底から癒される。快感。間違いなく私の免疫力はアップしたはずだ。
さて、お楽しみの夕食。この宿では部屋ごとに用意されている個室で味わう。そうだ。個室なのに禁煙だったことが私にとってはマイナスポイントだった。
前菜に刺身。どれもとても美味しい。前菜に入っていたホタテの稚貝の味付けに感心。まさにいい塩梅。その後のお吸い物も然り。登別の旅館とは思えない繊細な味付けで料理されている。
基本的に夕食には必ず洋皿が用意されるようだが、変更も可能だったので迷わず変更。洋皿の代わりに登場したのは、魚貝の石焼き。サワラ、エビ、ホタテなどを熱々の石の上で蒸し焼きのように調理。素材の味そのものを素直に味わえて悪くなかった。
焼かれたエビはボタンエビだろうか。かち割った頭に詰まっていたミソが新鮮さの証し。酒の肴としてバッチリ。
冷酒を頼めばこんな気取った片口で供される。いい意味で登別らしくない。洒落ている。一人で過ごすのもいいが、酔うほどに次回は素敵な女性と利用しようと思ったりする。
このほかにも十勝産の牛肉朴葉焼きとか茶碗蒸し、炊き合わせなんかも実に真っ当。天ぷらも揚げたてアツアツ状態で運ばれてくる。
奇をてらったもの、特別高価な極上素材が使われているわけではないが、締めの梅茶漬けやデザートに至るまで全体にマジメで丁寧な仕事ぶり。至極上等な宿だと思う。
料理に力を入れている高級路線の旅館だと、大浴場はほどほどというケースが珍しくない。私の温泉宿選びにとって重要なサウナについても、小、中規模の宿には設置されていないことが多い。
ここ「滝乃家」のサウナは小ぶりながら景色も垣間見える快適な状態に設置してありバッチグー。当然のように脱衣所にタオルも山ほど積んであって至れり尽くせり。
さてさて、朝から温泉に入りすぎたせいで、夕食時に冷酒1合と焼酎1合で、なぜだか相当酔ってしまった。部屋に戻って、読みかけの本をパラパラめくっていたらアっという間に深い眠りに落ちた。
翌朝、すっきり目覚めた。昨日は覗かなかったもう1カ所の露天風呂に行ってみる。こちらは最上階の湯処でアジアンリゾートでよく見るインフィニティプールのような造り。景色が絵画のように目に飛び込んでくる。この時も貸切状態。
朝食はご覧の通り。普通に美味しい。取り立てて豪華ではないものの文句のない水準。なぜか熱々のおでんもあった。玉子焼きも温かで、タラコも上質。OK。
正直、一人旅にはもったいない宿だった。次回は誰と来るのだろうか。
2009年3月6日金曜日
登別 滝乃家
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