先週書いた“第二の故郷”草津温泉の話を少し補足してみる。
温泉天国ニッポンのなかでも草津の湯の強さは驚異的だ。大昔から「恋の病」以外は治すと言われてきたが、あながち大げさではない。
子どもの頃、初めて行った草津の湯でバシャバシャと騒いでいたら、目に温泉が染みて痛くて泣きそうになったほど。
大腸菌などはわずか数秒で死滅させるほどのパワーがあるお湯だ。思春期のニキビ退治にも威力を発揮した。
ニキビ面の当時、2~3日滞在するだけで、ウソのように肌は綺麗になった。東京に戻って数日経つとニキビ面は復活してしまうのだが、子どもの頃から効能を実感するには充分な体験だった。
日本を代表する温泉地だけあって、草津では、多くの温泉宿が宿泊客以外にも大浴場や露天風呂を使わせてくれる。お湯に関しては、もったいつけない感じが嬉しい。
リゾートマンション族としては、この点が便利。マンションの大浴場も源泉掛け流しで泉質に文句はないが、やはりいつも同じだと飽きがくる。風情のある老舗旅館に気軽にお湯をもらえるところが草津の利点でもある。
最近は、宿以外に日帰り入浴施設も充実してきたので、長期滞在もオススメだ。アホみたいに巨大な西の河原露天風呂とか施設充実の大滝乃湯あたりは、たしか町営で料金も安い。
なんといってもヘンピな山の中だけに食事の点では特筆すべきことはない。旅館に泊まらないマンション族にとっては、なおさら食の不満は大きいが、こればかりは仕方ない。お湯の良さで我慢するしかない。
そば屋とうどん屋ぐらいだ。一応、中華とか焼肉屋もあるが、美味しいものを食べに観光客が来る場所じゃないし、そういう意味では普通の田舎の村みたいなもの。私もヘタすればコンビニめしで済ます。
何よりのご馳走は「空気」。標高の高いところに位置する草津は、真夏でも朝夕は涼しい。マンションにエアコンが無いのがその証だ。暑がりの私が夜中に寝苦しさを感じない。これって夏場は天国だ。高原の空気がご馳走などというと洒落ているが、ウマイものが皆無なだけにそんな気分がするわけだ。
ここ5年ぐらいの間だけでも随分と日本中の名湯に出かけた。登別、有馬、霧島、雲仙などのにごり湯をはじめ、箱根・伊豆方面、伊香保、水上などの群馬エリア、西のほうでは四国の道後、山陰エリアの皆生、三朝など。それ以外にもマイナーな所も入れれば数え切れないぐらい行った。
それぞれの良さがあるものの、泉質の凄さという点では草津がトップだと思う。長い付き合いゆえのひいき目もあるが、やはりお湯の強烈さは随一。
逆にいえば、イヤされるというより強い湯で身体中が刺されるぐらい刺激的。弱っている時だと簡単に湯あたりする。
変な言い方をすれば、優しく穏やかな温泉ではない。強い湯とがっぷり四つに組むぐらいの覚悟が無いとダメ。なんか大げさでスイマセン。
それにしても30年以上も前にわざわざ草津にリゾートマンションを購入した祖父の発想に感心する。軽井沢とか八ヶ岳とかその手の高原リゾートを選ばないアマノジャクぶりがチョットおかしい。
温泉ならば近場の熱海や箱根だってよかったのに、どうして草津だったのだろう。当時は高速道路だって今ほど便利じゃなかったし、なかなか個性的な判断だと思う。
定番とか流行が苦手な私としては、今になって草津を選んだ祖父の気分が分かる気がする。せっかくだから、“ありがち”ではなく“ひとひねり”したかったんだろう。
ひとひねりのおかげで、30年以上経った今でも飽きもせず快適な場所として使っている。
2009年8月10日月曜日
優しくない温泉
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