週末の選挙で民主党が圧勝し、いよいよ政権交代が実現する。なんか観念論みたいなイメージが染みついてきた政権交代だが、実際、何がどう変わるのだろう。
政治体勢が交代する以上、個人の暮らし、企業動向などあらゆる分野に影響を及ぼす。問題はいつからどの程度変化していくかという点だ。
15年前、細川連立政権の誕生で政権交代が実現した際には、あくまで「非自民」という旗印での寄せ集めに過ぎなかった。この点で今回の民主党政権誕生とは大きな違いがある。
また、当時の細川政権は、政治改革だけが使命であるかのような動きを見せたが、この点でも今回の政変劇は意味合いが違う。
決定的な違いになりそうなのが、予算編成の回数だ。細川~羽田と続いた非自民連立政権は、たった1度しか予算編成を担当していない。
社会党の離脱で少数与党になった羽田内閣が総辞職して、非自民連立はあっと言う間に崩壊、その後は社会党を巻き込んだ自民党が政権の座に復帰した経緯がある。
予算こそが政治の権力だ。この権力を1度しか行使しなければ影響力は強まらない。逆に過去何十回もこの権力を行使してきた自民党のパワーもたった1度の“退場”ぐらいでは揺るがなかったわけだ。
今回の民主党政権は、すでに岡田幹事長が発言したように任期中は解散しないという作戦を前提にしている。だとすると4年間は政変が起きない。その間の予算編成は常に政治主導を掲げる民主党が官僚支配を排除しながら行う形となる。
4年もやればアチコチに変化は生じるはずだ。さすがの官僚機構も15年前とは違い、自民党ドップリの軸足をしっかり民主党側にシフトさせる。
もっとも、策士揃いの自民党のことだから、右派、左派分断あたりの手法で必死に民主党の切り崩しに動く。まんまと分裂させられれば早々に政権の座に返り咲く可能性もなくはない。
話がそれてしまった。民主党政権で何がどう、いつから変化するのか。正直ピンとこない人は多い。激変というより、気付いたら随分変わっていたというパターンになるのだろうか。
税金の世界では、さっそく毎年の税制審議スタイルが変わるらしい。政府税制調査会の在り方が全面的に見直され、各省庁に配属される税制担当の政務官(国会議員)が改正要望を集約して、税調で調整する方針。
税調メンバーも政府ポストに就いている国会議員で構成され、下部機関である審議会で学識経験者の助言を仰ぐスタイル。これにともない、立ち位置が曖昧で、癒着、利権の弊害も指摘される党の税制調査会は廃止するという方針だ。
この動きが意味するものは、端的に言って「官僚支配から政治主導」。民主党が繰り返し主張してきたお題目だけに、ある意味、当然の路線変更だろう。
政治主導という姿勢は、選挙の洗礼など責任の所在が「官」よりも明確な「政」が重要任務を担うという意味で異論を挟む余地はない。
もっとも、政治主導の実現に必要なのは政治家の質であり、この部分が弱ければ、絵空事に終わる。民主党政治が目指す路線がこの国の「普通」になれば、必然的にアホやバカだと国会議員がやりにくくなる。
さきの税制審議の例も、国会議員の質が問われる取組みだ。各省庁の税制担当の政務官になれば、政策だけでなく、関係する基本的な税の仕組みを理解する必要がある。
「税は政なり」という言葉があるように税制に関する知識は政治のイロハだろう。にもかかわらず、税金を知らない国会議員は想像以上に多い。私自身、これまで仕事で接してきた経験からそう思う。
もちろん細かいことまで精通する必要は必ずしも無いのだろうが、それにしてもお粗末な知識のセンセイが多すぎるのも事実だ。そんなんじゃあ国政を託すには心許ない。
民主党が今後打ち出す戦略によって国会議員の質が高まるのならそれだけでも大いに意義深いことだと思う。
もっとも、小選挙区制によって選挙区での運動が一層シビアになったのが昨今の国会議員だ。彼らが今まで以上に政策遂行と勉強に追われると、次の選挙が危ないという図式も成り立つ。
結局、選挙に強い世襲議員じゃなきゃ政策遂行に没頭出来ないという悪循環も気になるが、それでも国会議員がキチンと仕事をするスタイルが確立されることは大事だと思う。
どうでもいい有名人がどうでもいいスローガンを掲げて当選し、何もしないままセンセイと呼ばれてVIP気分に浸る。こんなバカげた実態が無くなることが真っ先に必要だと思う。
相変わらずまとまりがなくてスイマセン。
2009年8月27日木曜日
何が変わるのだろう
ラベル: 世相
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