珍味を追求する使命を帯びて生きている割には、最近、その手の摂取状況が芳しくない。もっとチャレンジしないとイカンと反省中だ。
そんな気分で、味わったのが「鯛の白子」だ。高田馬場・鮨源で出してもらった逸品は、5キロサイズの鯛の白子。軽く塩をふって焼かれて出てきた白子様の姿形は、別に特筆すべきものではないが、味わいが素晴らしかった。
デロッと口の中で溶ける白子特有のエロティックな食感にしっかりと鯛の香りと味が拡がる。フグの白子よりも味が濃厚。こっちのほうがウマい。延々と日本酒が飲めそうな崇高なツマミだ。
やはり、珍味に人生を賭けていかねばと決意を新たにする。
場所は変わって、久しぶりに訪ねた珍味屋、いや寿司屋で久しぶりに「イバラガニの内子」を食べた。
数限りなく存在する「臓物・魚卵系」珍味の中でも私がもっとも好きな一品だ。
カニの内子とは、未成熟の卵のこと。ツブツブ状になった外子になる前の段階で、まだドロッとした液体状の変なヤツ。
これを塩漬けした珍味が超絶的に日本酒に合う。東京ではあまりポピュラーではないが、北海道あたりでは居酒屋メニューの常連だ。
とはいえ、ポピュラーなのはタラバの内子。通販で簡単に入手できるのも黒紫色したタラバの内子がほとんどだ。この画像は毛ガニの身にトッピングされたイバラガニの内子。オレンジ色のニクいヤツだ。
イバラガニの内子は漁獲量の関係でなかなかお目にかからない。東京では、私が訪ねたこの店以外では見たことがない。
私が珍味屋と呼んでしまうここは、銀座7丁目の「九谷」。北海道直送のネタを取り揃える個性的な店。寿司屋の激戦区である銀座だが、明確なコンセプトを守っているから、いつも繁盛している。
イバラの内子を仕入れていることからも、珍味に並々ならぬ思い入れがある店だと分かる。いつ行っても季節ごとに、ウヒョウヒョ言いたくなる酒肴がある。
毛ガニのミソだって、黄色の鮮やかな鮮度抜群のものがいつも用意されているし、キモ方面も勢揃い。
以前も、時鮭のスジコとか、アワビのキモとウニの和え物とか、涙ちょちょ切れの酒肴を出してもらった。
イバラガニの内子とともに画像に写っているのもキモとか卵巣だ。ホタテの卵巣と、もう一点は忘れてしまった。スイマセン。
山わさびも普通に用意されている。おかげでイカ刺しも俄然、北海道チックに変身する。個人的にはショウガより山わさびの方がイカにピッタリだと思うので、たいして好きではないイカもこの店では必ず食べる。
この日は、生のカズノコを出してもらった。たかがカズノコ、されどカズノコだ。普通は、色目を良く見せようとか、日持ちさせるために薬たっぷりの液体に漬け込まれている。まっさらのナマを食べる機会はなかなか無い。
自然な風味で食感も柔らかい。やはり何事もナマが一番だと感じ入った次第だ。カズノコだし・・・。
スケベでスイマセン。軌道修正。
一部では「幻」と呼ばれるブドウ海老も大型サイズがズラッと並んでいた。ボタンエビの色違いみたいな感じだが、甘味が強く、これまた燗酒にバッチグーだ。
以前、仙台の某人気寿司店で1貫2千円というトンデモ価格にビックリしたことがあるが、こちらはそんなアコギな店ではないので、安心してパクつける。
シャリつきで食べたタラコも上モノだった。しょっぱいだけのタラコと違い、塩加減、舌触りともに文句なし。変な顔みたいな装飾も大将の可愛い?性格が表れていて楽しい。
珍味とか鮮度だけで勝負というわけではなく、コハダとかシメ鯖、穴子あたりの一手間ネタもしっかりしている。この店のエラいところだ。
だから何を食べても外さない。とても使い勝手が良い店だと思う。
私の場合、いつも珍味中心で過ごしてしまうため、トロタクあたりの巻物をつまんだら、せっかくの握りを楽しまずに終わってしまう。
まさに後ろ髪を引かれる思いだ。薄くなってきた髪を引っ張られるのは困るから、今度は握りもバンバン食べようと思う。
2012年3月21日水曜日
珍味バンザイ
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