最近、イタリア料理とかスペイン料理を食べる機会が重なった。やはり、食後がちょっと厄介だ。食べている最中は、ウマいウマいと喜んでいるのだが、あとになって胸焼け太郎だ。
実にだらしない。
20代の頃などは、週に3~4回はイタリアンを満腹になるまで食べていた。時代のせいもあったが、やれ、ゴルゴンゾーラだ、オリーブオイルだとニコニコしながら大量摂取していた。
それでも、胸焼けなどせず、膨満感もなく、食後すぐに横になって組んずほぐれつしたってヘッチャラだった。
逆流性食道炎は一生付き合っていく必要があるらしいから、あの頃の不摂生や組んずほぐれつが悔やまれる。後悔先に立たずである。立たせていたモノが違ったわけだ・・・。
そんなグチを書いていても仕方がない。胸焼け太郎の私が、ドカ食いしても食後に結構平然としていられるのが「洋食」である。
ハヤシライスとかタンシチューとか、クリームコロッケとか、あの手の「お子ちゃま大喜び系」の食事である。
洋食屋さんもピンキリで、もちろん、高級路線になれば、「たかが、されど」の奥深い世界が味わえる。お子ちゃま系などと思うことは地獄に落ちるぐらいの誤りである。
イタリアンにせっせと通っていた20ウン年前から、素直にウマい洋食屋さんにはちょこちょこ出かけていた。米ラバーである私としては、リゾットよりもニッポンの白米が有り難い。洋食屋さんは昔からオアシスだった。
赤坂・津つ井のビフテキ丼は懐が暖かい時のご馳走だったし、麻布のグリル満点星ではナントカの一つ覚えのようにオムライスをぺろぺろ食べていた。
日本橋・たいめいけんのハヤシライスなんかも大好きだったので、その後、我が社にほど近い距離のデパ地下にこの店のイートインコーナーが登場した時は幸せな気分だった。
しょっちゅう、カニクリームコロッケを買って帰って、家でオーブンでカラっと暖めて、「ブルドック・プレミアムソース」をポタポタ垂らして頬張っている。小さな幸せである。ヘタな店で外食するより幸福感に包まれる。
先日、日本橋のたいめいけん本店に行く機会があった。何度か行ったことはあるが、この日は「2階席」。いつも混雑している1階席よりも断然ゆったり食事が出来る。
一応、同じメニューでも1階席と2階席では値段が違う。夜にゆったり食事するためのショバ代と思えば仕方ない価格差だろう。
名物のオムライスを例に取ると、100円マックを7、8人にご馳走できるぐらい値段が違う。
一応、素材だか調理法も1階席と2階席では違いがあるらしい。ホントかどうかは知らないが、ホントだったら2階席のゆったり感は悪くない。
この日は、自慢の定番料理が少しづつ載った特選小皿料理のセットをシャンパン片手に味わっていた。それだけ食べれば充分なのだが、「オムライス」は欠かせない。
たんぽぽオムライスと名付けられたこの店の名物だ。ケチャップライスの上にふんわりとしたオムレツがどーんと乗っかっている。見ているだけでワクワクする。
このオムレツの真ん中あたりを切腹するかのようにかっさばくと、トロリとした中身が全体に広がって、ライスはまったく見えなくなる。
こんなご馳走を前にしたらコレステロールの数値など屁のカッパである。無心に食べる。
高級オムライスと言えば、ソースがデミ系だったり、シチューをそのまま使うことが多いが、このたんぽぽオムライスの最大のポイントはケチャップで食べさせる点だろう。
食べてみて気付いたのだが、定番中の定番であるケチャップが決め手だと思った。
味覚なんて十人十色だが、私の世代であれば、オムライスは間違いなくケチャップだった。そんな原点を思い起こさせる味だ。
極上のトロトロオムレツと極上のケチャップライス。そうなると料理人としても手の込んだスペシャルソースを使いたい感覚になるのも分かる。でも、あえてケチャップで食べることで、「正しきオムライス」の究極系が完成するのだろう。
なんか大げさだが、それが実感である。
このラーメンはセットメニューのシメに出てきた特製ラーメンだ。これがまた由緒正しき?東京醤油味でしっかり濃い味。ちぢれ麺もいい感じだった。
ゴテゴテラーメンが溢れる今、実に味わい深いラーメンだ。メニューを見たらラーメン類が結構種類豊富に揃っていた。
ケッタイで妙に高いラーメンを並んで食べるぐらいなら、この店の2階でのんびりビールでも飲みながら昔ながらのラーメンをすすった方が良さそうだと感じた。
洋食メニューのなかには、ヨソの名店のほうが断然ウマいものもあるが、さすがに名のある老舗だ。食べていて素直に楽しい気分になったから1階席の大繁盛もうなずける。
「食こそコンサバ」。そんな印象だった。
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