2015年6月5日金曜日

テレビっ子


唐突だが「小林薫」である。実にいい。テレビに彼が映るとついつい見入ってしまう。オジサマ俳優の中でも独特の存在感である。

変に若ぶることもなく、変にオシャレな路線に走るわけでもなく、淡々とした感じがいい。

いま放送中の連ドラ「天皇の料理番」でも大活躍だ。料理人を目指す主人公を見守る偉大なシェフの役である。

主役よりも主役っぽい。小林薫が出てくるシーンは実にピリっと締まった感じになる。

今年の前半に深夜枠で放送されていた「深夜食堂」というドラマでは、新宿の路地裏で小さな食堂を一人で切り盛りする男を演じていた。

包丁を持たせたら日本一の俳優じゃなかろうか。間違いなくウマいものを食べさせてくれそうだ。

小林薫を初めて知ったのは昭和の名作ドラマ「ふぞろいの林檎たち」だ。中井喜一の兄の役で、身体の弱い嫁を持つ寡黙な男の設定だった。

静かな口調が格好良かった。「おかあちゃん・・・もうよせよ」と諭すようにボソっとしゃべる彼にシビれた若者は多かったと思う。

ということで、連ドラの話を書く。

昨年は不倫ドラマ「昼顔」に妙にハマったが、今年の一推しは「天皇の料理番」だ。小林薫を始め、脇役陣が豪華な顔ぶれでそれぞれが味わい深い。

シナリオも単純明快に面白い。CGを使った明治大正の街並の描写も時代の雰囲気を感じさせる。

視聴率の面では大ヒットにはなっていないらしいが、他の連ドラとは一線を画した老若男女問わず楽しめる作品だと思う。

続いては朝ドラ。3月までやっていた「マッサン」にハマっていたせいで、現在放送中の「まれ」に関心はなかったのだが、いつの間にかハマっている。

すべては「大泉洋」のせいである。あの人の不思議な面白さは文化財級だと思う。小林薫とは全然違う存在だが、あの人がテレビに映るとついつい見入ってしまう。

ストーリーとしては「あまちゃん」の二番煎じ的な雰囲気もあるが、そんなことはダメオヤジ役である大泉洋がすべて吹っ飛ばしている。

すっかり老け役が板についてきた田中裕子もいい。

昨年、このブログで昭和の頃に独特な色気で世の男をトリコにした田中裕子を取り上げた。なぜか1000回以上更新してきた過去ネタのなかで閲覧数トップ10に入っているのがその時の話だ。

http://fugoh-kisya.blogspot.jp/2014/02/blog-post_28.html

いまでは色気とは無縁の「疲れたオバサン」みたいな役が多いが、それはそれで見事な進化だと思う。

田中裕子といえば沢田研二との結婚騒動が昭和の芸能マスコミを大騒ぎさせた。「愛之助騒動」どころではなかった。国民的関心事になったほどだ。

女優として上手に年齢に応じた進化を遂げた田中裕子を見ていると、あんなにカッチョ良かったジュリーがぶくぶく太っていられるのも納得である。

話を戻す。

離れて暮らす娘と話題を合わせるために欠かさず見ている番組もある。「嵐」の相葉君が出ている「ようこそわが家へ」、キムタクの「アイムホーム」、AKBにいた大島優子ちゃんの「ヤメゴク」である。

見たくもないのに見る番組もあってチョットしんどい。録画が溜まってしまうので週末にせっせと見ている。そのせいで録画済みの「寅さん」とかを見る時間が取れないのがストレス?である。

3つのアイドルドラマのうち、結構ハマっているのが「ようこそわが家へ」である。ストーカー被害に遭う家族の話だ。

主人公の父親役である寺尾聰が渋い。銀行から出向させられた中小企業で生き残ろうと奮闘している悲哀に満ちたオッサンを好演している。

池井戸潤の原作ではそっちが主役らしいのだが、テレビではオトナの事情で相葉君が主役だ。

キムタクと大島優子ちゃんのドラマは正直見ていてシンドイ。まあ、大人向けではないということだろう。いつも途中で寝てしまう。

もっと現実的で心に響くような脚本が作れないものだろうか。楽しく見ている人には申し訳ないが、端的に言って退屈。個人的な感想です。スイマセン。

地味ながらジックリ楽しめるドラマといえばNHKだろう。最近やっていた土曜ドラマ「64」も面白かった。

悲哀溢れる中年警察官の話だったが、ピエール瀧を主役に据える斬新さが良かった。脇役の柴田恭兵の渋さも光っていた。ああいう俳優がもっともっと活躍するようになれば面白いドラマが増える気がする。

昔の家人が受信料を口座引き落としにしてしまったからNHKからは逃げも隠れも出来ない私である。受信料をキチンと払っているから声を大にしていいたい。大人向きで骨太のドラマをどんどん作ってくれ!

それにしても、こう書いてみるとテレビっ子みたいな暮らしをしている。もっとギターの練習に励まないといけないのに、ついついテレビのスイッチを入れてしまう。子供みたいだ。

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